今までのディーゼルに抱いていた恐怖や憎しみといったネガティブイメージを、この1台が見事にひっくり返してくれるだろう。ついに日本に上陸した『E320 CDI』はディーゼルの新しいカタチだ。
「うるさい、振動がある、遅い、クサい」とのイメージを見事に覆した。ガソリン仕様とは多少エンジンの音色が違うだけで、うるさくない。振動はステアリングに添えた指先にかすかに伝わってくる程度。このパワーユニットは優秀だ。
レブリミットが4600rpmとガソリン仕様に比べてかなり低いんだけど、2400rpmから4200rpmまでの回転域は一番おいしいゾーン。211psしかないが、55kgmもある太いトルクは、1600rpmからでも力強く加速してくれるし、その加速はまさにV8並み。高級感も文句はないし、乗り心地はフラットで快適だ。
このCDIは欧州では当たり前の存在だけど、日本ではディーゼルに対しての意識が極めて低い。ガソリン価格が上がるいっぽう、このクルマは意味のある選択ではないか。ボクは900万円あったら買うと思うね。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★★★
ピーター ライオン|モータージャーナリスト/コラムニスト
60年豪州生まれ。88年から東京を拠点に自動車評論活動を始める。現在、米・英・独・伊・豪・日本など10カ国の有力誌に寄稿。(日本)COTY、(米)『カー&ドライバー』誌「10ベスト賞」、ワールドCOTY賞、国際エンジン賞、各選考委員を務めている。