「記憶に残るインテリアを作りたいと思ってデザインや設計をやりました」。新型ダイハツ『ムーヴ』のインテリアデザインについてこう語るのは、デザイン部スタジオグループの若林道之氏。
「インテリアはクルマのなかでもとても大事な部分なのですが、差別化は意外に難しい。クルマを買い換えると、前のクルマのインテリアって案外忘れてしまうんですよ。『ムーヴのインテリアは面白かったなあ』と、いつまでも覚えていてもらえるようなデザインを目指したんです」
「ムーヴのインテリアは、圧倒的に広いというだけでも相当のインパクトがあります。が、それだけでいいというわけではありません。独創的なデザインで広さにプラスアルファの感動を与えたかった」(若林氏)
メーター類やマルチインフォメーションディスプレイが配置されるインスツルメンタルパネルの左右を壁ではなく素通し式の「アーチシェイプ」形状とし、フロントウインドウからの光が木漏れ日のように差し込む演出。
「インパネやトリムなど樹脂部品のテクスチャ(紋様)も、従来のレザー風からツィード調に変えて、品質感とカジュアルさを両立させました。グレーの色合いも見直して、安っぽく見えないよう工夫しました」(若林氏)
実車を見ても、内装の質感は旧型に比べて確実に向上している。ユーティリティだけでなく、所有する喜びも重視したという新型ムーヴの“らしさ”がかいま見える部分である。