初代『LS』=『セルシオ』の誕生以来、初の“フルモデルチェンジ”を行なったまったく新しいV8エンジンと、やはり完全新開発の8速ATという組み合わせからなるパワーパックを、こちらもオールニューのボディに搭載する新型レクサスLS。
恐らくは日本仕様も同等数値と推測される4.6リッター・エンジンが発生する最高出力は380ps。それゆえに、「きっとその加速感は相当に強力なものであろう」と予想をしたものの、現実にはそれよりもまずは圧倒的な静かさとスムーズさのほうに強く感心させられる、というのが、このクルマの実際だった。
初代LS=セルシオは、当時のライバル各車を圧倒する静粛性の高さでまずは世の中に強烈なインパクトを放ったが、今や伝説となったそんなアイデンティティはやはり新型にもしっかり受け継がれている。
キックダウン時に実際のダウンシフトが行なわれるまでのわずかなタイムラグが多少気になる場面もあるが、「変速段数は多いほどに、滑らかな加速が得られる」というお題目通り、8速ATが生み出す加速の連続感もまずは見事といえるものだ。
いっぽう、“380ps”という数字の割にはそこから期待をしたほどに強靭な加速を感じられなかったのは、「生産性や補修性、そしてコスト的な問題から今回はアルミ製などは考えなかった」というボディを中核としたその車両重量が、およそ2トンと意外にも重量級という点とも無関係ではないだろう。
無論、新型LSがライバルたちを凌ぐさまざまなハイテク装備を身につけていることは考慮する必要はある。が、とくにさらなる重量増を免れないハイブリッドモデルを今後にスタンバイしていることを考慮すると、“標準状態”ではあと100〜150kgは軽い重量を実現して欲しかったとも思う。(つづく)