【神尾寿のアンプラグド】カーナビの進化を考える---その1

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パイオニアがカロッツェリア「HDDサイバーナビ」の2006年モデル5機種を発表した。周知のとおり、パイオニアは市販カーナビ市場でトップシェアを誇り、その中でも「サイバーナビ」は未来を見据えて先進機能を盛り込むハイエンドモデルという位置づけだ。

サイバーナビ06年モデルの開発に携わったパイオニアモーバイルエンタテイメントビジネスグループ事業企画部アフターマーケット企画部企画2課副参事の小森立氏、モーバイルエンタテイメントカンパニー事業企画部アフターマーケット企画部企画2課副参事の矢野健一郎氏、同副参事の古賀公治氏の3人に、新サイバーナビについて聞いていく。

◆AVとナビゲーション、どちらも高次で進化させる

06年は市販カーナビメーカーにとって「選択の年」という一面がある。特にハイエンド向けでは、HDD搭載と音楽リッピング機能が一般化する中で、どのような付加価値をつけるかが、商品性を決める重要な鍵になっている。一方で、周辺環境に目を向ければ、純正カーナビを中心に進むテレマティクスサービス、デジタル音楽と地上デジタル放送の本格化、Bluetooth携帯電話の増加、そしてホームブロードバンドの普及など、取り入れるべきサービスや技術と取り組むべき新たな分野は着実に増えている。

このような中で、サイバーナビの2006年モデルは、どのようなコンセプトでまとめられたのだろうか。

「サイバーナビの基本コンセプトとしては、'04年モデルから『AVとナビゲーションの高いレベルでの融合』があります。(AVとナビの)どちらかに寄るというわけではなく、着実に進化していく。その上で、時代性にあわせた技術やサービスを取り入れています」(小森氏)

最近では、iPod連携などAV関連の分野が脚光を浴びるケースが多いが、カーナビ関連も新たな要素を取り入れて進化している。

「05年モデルではルート探索にフォーカスして、渋滞予測機能などを入れましたが、06年ではルート探索精度を向上させるのはもちろん、地図の見やすさや、(駐車場の入り口を記憶する)オートパーキングメモリーなどにもこだわりました。開発側からいうと、カーナビの基本機能でも進化すべき場所はまだあります。

また(06年モデルで)特徴的なのが、位置精度の高さをいかしてオートパーキングメモリーを実現するなど、従来から進化させた機能を新たな価値にするという取り組みがあります」(矢野氏)

◆カーナビは「通信連携型」へと向かうのか

カーナビ分野に目を向けると、DVDからHDDといった「スタンドアローン型」としての進化のほかに、通信を使いネットサービスと連携する「通信型」の進化が始まっている。この顕著な例が、ホンダの「インターナビ」やトヨタの「G-BOOK ALPHA」、日産「カーウイングス」など自動車メーカーのテレマティクス型カーナビだ。

サイバーナビでは以前から天気情報やCDDB情報の取得、オンデマンドVICSなどで通信連携機能を搭載してきた。サイバーナビも通信連携型に向かっていくのだろうか。

「パイオニアは市販カーナビメーカーの中では、通信連携やテレマティクスを積極的に取り入れてきたという自負があります。今は販売終了してしまいましたが、(ネットワーク型カーナビの)Air Naviのノウハウはサイバーナビの中に生きています。

特に今回のサイバーナビでは、(カーナビ同士が情報共有する)プローブカーのコンセプトを導入し、『スマートループ構想』を立ち上げました」(矢野氏)

パイオニアが通信連携、テレマティクス型カーナビに注目し続ける理由は、スタンドアローン型の限界を感じているからだという。

「(スタンドアローン型では)ストレージの大容量化をしましたが、中に入っている情報は、お客様にご購入いただいた後1〜2年変わらずという状況になります。世の中の情報が増える中で、スタンドアローン型では提供できる機能やサービスにどうしても限界がある。カーナビの可能性を広げるために、通信連携を抜きでは考えられない」(矢野氏)

しかし、その一方で、ネットとの"繋がり方"では「様々な方法論が考えられる」(矢野氏)という。

「リアルタイム性が求められる情報なら携帯電話接続、そうではなくて大容量通信が求められるならリビングキットによるホームブロードバンド接続など、通信の部分は様々な選択肢が併存していくと考えています」(矢野氏)

市販カーナビは純正カーナビに比べて、通信連携・テレマティクス分野でやや出遅れている印象が強い。しかしパイオニアのサイバーナビでは、“テレマティクス型”の可能性をしっかりと視野に入れているのだ。

《神尾寿》

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