そんな日本でのレクサス・ラインナップの中核を成す新型『GS』で、南仏は地中海に面したニースを起点に、日本導入に先駆けてのテストドライブを行なってきた。
ちなみに、前述の通りアメリカの地では大成功を収めたレクサスのプロジェクトも、メルセデス・ベンツやBMWを筆頭としたプレミアムブランドが群雄割拠し、アメリカのマーケットとは比較にならないレベルで歴史や伝統をも重んじられるヨーロッパの市場では、今のところ決して成功しているとはいい難い。
彼の地では、ガソリンエンジンに対するシェアを着々と高めつつあるディーゼルエンジン搭載モデルを持たないことも、ヨーロッパでのレクサスが軌道に乗らない大きな要因というのは当のトヨタも認めるところ。日本での事業のスタートとタイミングをともにしてトヨタでは、そんなヨーロッパ・マーケットでのレクサスの認知度も大幅に引き上げようと作戦を練っていることは間違いない。
風光明媚な世界一級のリゾートである仏・ニースの地で大々的にワールドワイドな取材会を行なった背景には、そんなこれからのヨーロッパ市場にかける意気込みももちろん含まれていると受け取るべきだろう。
ニースの国際空港で対面となったGSのスタイリングは、なるほどこれまで2代のモデルが築き上げてきた歴代『アリスト』の面影がそこここに感じられるものだ。
ライト上端よりもグリル上端を低くレイアウトするというフロントマスクのモチーフは「今後のレクサス車すべてで採用をして行くデザインキューのひとつ」とのこと。カウルの位置を前輪よりも明確に後方へと置いたプロポーションは、FRモデルらしさを象徴するひとつのポイントだ。
前述のようにアリストの面影が色濃く感じられるのは、上端後部を後方へと引いた独特のサイドウインドウグラフィック&リアドア開口形状によるところも大きい。歴代アリストに比べるとフロントマスクのアグレッシブな雰囲気はやや控えめになったとも思えるいっぽう、ボリューム感タップリのボディ幅一杯にリアタイヤがふんばるリアピューは、ボク目には極めてダイナミックで個性的なものと映った。
インテリアのデザインは、レクサス各車が強くこだわる上質さの中にも歴代のアリストが築き上げたダイナミックでスポーティなテイストが演じられている印象。なかでも、そんなこのクルマの狙いをとくに象徴するのが丸型3眼タイプのメーターパネル。そこには“エレクトロ・クロマティック・デバイス”なる最新の照明テクノロジーを世界で初採用。なるほど、本メタルの文字版が輝かしく浮かび上がるさまはちょっと新鮮で、オーソドックスなアナログ表示ながらモダーンで上質な雰囲気を醸し出すことになる。(つづく)