広いスペースと多様なシートアレンジはもう当たり前。成熟期に入った昨今のミニバン市場では、いかにプラスアルファな個性を出すかが問われてきた。ところが新型日産『セレナ』はというと、あえてミニバンの原点回帰を目指した。
新型ホンダ『ステップワゴン』やマツダ『プレマシー』は全高を下げ低重心化を図り、走りを強く意識したミニバンを打ち出している。
セレナは「見てBIG」のセールスポイント通り、5ナンバー枠いっぱいのボクシーなスタイルと広いサイドウインドウは一目見て室内空間の広さを感じさせる。カタログにあるだけでも11パターンという多彩なシートアレンジを見ても、奇をてらうことなく、あくまでミニバンというジャンルに求められることを生真面目にカタチにしてきた。
デザインやパッケージングだけでなく、細部の使い勝手にも抜かりはない。
車内インターホンであるインカーホン(フロントシートとサードシートの会話をしやすくするマイクとスピーカーのユニット)は、大勢で乗って移動中のコミュニケーションを楽しむミニバンならではの装備だ。これさえあれば3列目で会話に加われず、寂しい思いをすることはなくなる。
ところで、報道発表会で「日産の中にも二つの価値観があっていいと思う」と中村史郎デザイン本部長は語った。生真面目セレナとは別の「何か」を意識したミニバンがあっても良いということだろう。ひょっとしたら近い将来、あっと驚く「ネクストミニバン」を出してくるのかもしれない。