もちろんデザイン的にも、最近の日産車の例に漏れず、なかなかにレベルは高い。もちろんデザインも変なギミックを使うことはないのだが、シンプルながら凝ったように見えるから不思議なもの。まず加藤さんが大きな手振りで解説してくれたのはインパネのデザイン。「よく見るとシンプルでしょ。じつは大胆に横のラインをベースにしているだけです。そのうえで、メーターやスイッチを効率よく配置しただけ」というが、それでいて安っぽくないのはさすがだ。
さらに細かい部分では、センターコンソールには間仕切りが付いており、収納サイズを自在に変えられるのだが、加藤さんが手に取りながら「ただの板じゃないんです」という。よく見れば、表面にはギザギザが付いているのだが、最初は意味がわからなかった。「こうするだけで質感が出るし、また大切にしてくれます。ただ平らだとそのうちなくなったりしますからね」。そこまで考えているとは驚きだ。
ライバルは前にも紹介したように、『フィット』や『イスト』だが、それらよりも確実に色気があるし、すべてに存在理由があるだけに、それが使い心地のよさにチャンと結びついている。単純に気持ちよく、素直に付き合える。シンプルな使い勝手という言葉をよく耳にするが、じつはむずかしいこと。加藤さんが強調する「うそがないクルマ作り」の意味がわかったような気がした。