トヨタ『ハリアーハイブリッド』、『クルーガーハイブリッド』のパワーユニット、THS(トヨタ・ハイブリッドシステム)? は、『プリウス』、『アルファード/エスティマハイブリッド』などの既存モデルに比べ、大幅なパワーアップが図られている。
主機となるエンジンはノーマルモデルと共通の「3MZ-FE」型3.3リットルV6DOHCだが、ハイブリッドシステムに最適化させるため、スペックは最高出力155kW(211ps)、最大トルク288Nm(29.4kgm)と、若干デチューンされている。
このフロント横置きV6に、動力分割機構および減速比2.478のリダクションギアを介してフロント用モーター、ジェネレーターが直結される。アルファード/エスティマハイブリッドと同様、変速はCVTが受け持つが、プリウスでも高い評価を得ている動力分割機構を備える分、ハイブリッドとしては高機能だ。
モーターのスペックは最高出力123kW(167ps)、最大トルク333Nm(34.0kgm)と、同13kWのアルファードに比べて実に9倍以上、50kWのプリウスと比べても約2.5倍というパワーが与えられている。許容回転数もプリウスの2倍近い1万2400rpmに引き上げられた。
後輪は専用のリア用モーターで駆動され、電気駆動の4WD「E-Four」を形成する。スペックは最高出力50kW(68ps)、最大トルク130Nm(13.3kgm)。充分に蓄電されている場合、これらをトータルしたシステム出力は、100km/hのときに200kW(272ps)に達するという。
これだけの高性能化を果たした最大の要因は、システム全体の高電圧化だろう。定格電圧は288ボルトだが、昇圧コンバーターによってピーク時には最大650ボルトで電力をシステムに供給。自社製IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を搭載するインバーター、モーターも高電圧に耐える構造とした。
これらの改良により、モーターの飛躍的な高出力化を実現したのである。ちなみにフロントモーターの123kWという最高出力は、最大トルクや電圧、電流などの違いはあるが、鉄道車両向けモーター並みの数字だ。