三菱『ランサーエボリューション』には歴代モデルに競技ベース車のRSというグレードがあり、もちろんエボリューションIXにも設定されている。RSはエアコンやパワーウインドウなどは標準装備されず、すべてオプションとなるスパルタンなグレードだ。
エボリューションIXからは全て5速仕様となり、GTと同じようにマグネシウムターボが標準装備されている。エボリューションIXは5速のGTとRSの方が最大トルクが41.5kgmと若干高くなっているが、それはミッションのトルク容量の差によるもので、5速も6速もエンジンの性能には違いはない。
RSにも当然MIVECが新たに採用されており、ターボの改良と合わせて、競技ベースマシンとしてのポテンシャルは飛躍的に向上している。
RSの走りの魅力は、何といっても軽さだ。GTと比較してもカタログ上では70kgも軽い。今回の試乗車ではオプションのスーパーAYCや17インチタイヤを装着していたので、70kgまでの差はなかったが、それでも動きの軽さは感じられた。とくに左右に切り返すコーナーでの動きは、RSの方が軽快だった。
そのぶん、防音材なども省かれているので遮音性や快適性は低い。ただし、スーパーAYCやパワーウインド、エアコン、集中ドアロックなどもオプションで追加できるので、走行性能の高い軽量ボディのRSを選び、オプションで快適装備を追加していくという楽しみ方もある。とはいえRSはラリーやジムカーナなど、モータースポーツを志す人のために設定されているクルマ。一通りの実用性や快適性を求めるユーザーにはオススメしにくいモデルだ。