2000年3月に締結されたフィアットとGM=ゼネラルモーターズとの資本提携が、暗礁に乗り上げている。事の発端は、GMがフィアットの自動車部門を完全買収する計画。GMがその期限延期を申し入れたのだ。
それに対し、フィアットのマルキオーネ社長は、「昨年9月パリにおける両社の会議で、2005年1月にGMがフィアット自動車をすべて買収するとの合意に達していた」と主張。取り決めの履行をGMに迫っている。場合によっては法定闘争に至る可能性もとの報道もある。
今回の背景には、さまざまな事情がある。GMはヨーロッパ市場で振るわず、オペル従業員の1/3を解雇するという大胆な人員整理を先週発表したばかり。不要不急な支出は少しでも抑えたい状況なのである。
また、買収予定だったフィアット内部の経営改革が思いのほか進まないことに業を煮やしてもいた。
いっぽうでフィアットも相変わらず不振。11月の欧州新車登録台数でも、全体では前年同月比9.5%プラスだったにもかかわず、フィアットだけは7%マイナスとなった。それに対して、同社は5800人の一時帰休でしのごうとしている。
そうした状況の中、フィアットとしては自動車部門の売却を一刻も早く実現したいところなのだ。 ちなみにフィアットの経営に今も強い発言力をもつ創業家・アニェッリ家は、傘下の大手デパート「リナシェンテ」の株売却も進めている。
いずれも、14日にスイス、チューリッヒで行なわれるフィアット-GMの会議で、当面の先行きが見えてくると思われる。
イタリアの一部メディアでは早くも「両社は提携を解消し、フィアットは新たなパートナーを探すのでは」との説も流されている。それが事実だと、アメリカン・カウボーイとイタリア娘の「結婚生活」は5年も続かなかったことになる。
ただし、その間に誕生したフィアット-GMパワートレインといった子会社や、同じGMグループであるスズキとの小型四駆計画といった、いわば「子供」たちが、将来どのような境遇になるかが心配である。