FF-Lプラットフォームで仕立てられたSUV。だからというわけではないが、北米に展開されている『アルティマ』や『マキシマ』といった大型FFサルーンに共通する大陸的なスケール感が印象的。
『ムラーノ』はデザインのインパクトでまず惹きつけようという試みのクルマだが、率直にいって存在感ではFMプラットフォーム仕立てのインフィニティ『FX45』/『35』に及ばない。アメリカらしい問答無用の突き抜けた明るさが希薄なのだ。
ドライバーズシートに収まると、カウルまでがやたらと遠い空間デザインに戸惑う。まるでクルーザーのようなそれは、横方向の広がりと合わせて実際の大きさ以上に扱い勝手に影響を与えそう。
走りは基本的にFF-Lの系譜を感じさせる仕上がりだが、3.5リッターV6にCVTという初組合わせは予想以上にスポーティで洗練された乗り味を作り上げていた。スタイルが気に入ったなら日本専用の2.5リッター直4は買い。思いのほか軽快な走りが印象的だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★☆☆
伏木悦郎| 自動車評論家
70年代にレースを志し富士スピードウェイで参戦。その間偶然知り合った自動車雑誌編集者にスカウトされる形で業界入り。78年から一貫してフリーランス。FRの魅力に傾倒し国産車によるコンパクトFRの再生が宿願。