マツダ『ベリーサ』には、約3000曲を収録可能な20GB容量のハードディスク(HDD)オーディオがオプションとして設定されている。カーナビ機能のひとつとして「音楽リッピング機能を持つモノ」はこれまでにも存在しているが、純然たるオーディオとしてのHDDモデルは日本初の設定。そして世界的に見てもかなり珍しい部類となる。
マツダの車両コンポーネント開発本部・電子情報通信開発グループの平野拓男さんは「HDDは収録できる曲の数も多く、以前から実現したいと考えていたアイテムでした。HDD自体が低価格化してきており、今回ようやく了承されました」と語る。
オーディオ本体の製造を手がけるのはサンヨーオートメディアという会社。圧縮形式はMP3(128kbps)で、独自のセキュア技術で暗号化されているという。
価格設定にも驚かされる。HDDオーディオ本体と6スピーカー、そしてステアリングスイッチがセットで税抜き6万5000円。オーディオレス仕様が2万1000円引きとなるため、これを標準オーディオの価格と考えたとしても、8万6000円で最新のオーディオ環境が手に入ることになるのだ。
CDからのリッピングは等速となるが、クルマを降りるときにCDをセットしていけば、エンジンを切った状態でも1枚分はリッピングを行ってくれる仕組みになっている。暗電流の問題もあり、市販の後付けオーディオが手を出しにくい機能だ。
平野さんは「そこが自動車メーカーの純正品としての強みです。最低限の電流でリッピングしていくようになっていますが、HDD自体はノートPCなどに積んでいるものと同じなので、電力消費も抑え気味になっていますし、バッテリー上がりに直結するような問題はありません」と強調している。