ルノーのショーモデル、タリスマンには日産のインフィニティQ45用エンジンが搭載されている。駆動方式もQ45と同じFR。しかし、ルノーに聞いたところ「市販するとかしないとかのレベルでの話ではない。日産との間のプラットホーム共有とか共同開発とかいったプロジェクトの延長線上にもない、単なる純粋なスタディ・モデル」とのコメントが返ってきた。
なぜ、ルノーのショーモデルが日産エンジンだったのか。当然、日産には、インフィニティのV8エンジンをわけてほしい、という打診があった。デザイン本部長の中村史郎氏も「ルノーがウチのエンジンを使ってショーモデルを出すということは聞いていた」と語っている。ルノーにしてみれば、利益率の高い高級車をラインナップしたいわけで、メルセデスベンツやBMWのV8エンジン搭載モデルをうらやましく思っているのは事実。日産に資本参加した現在、その高級車市場進出という悲願は現実味を帯びてきた。自前ではとても開発できないV8エンジンを、日産は持っているのだ。
「こういうクルマがルノーにあったらいいですね」
わざと、ルノーの若いスタッフにそう話しかけた。
「まったくだ!」と彼は答えた。