スバル初のディーゼルエンジンはガソリンエンジンのDNAを色濃く受け継ぐ、世界でも初めての水平対向ディーゼルエンジンだった。
「スバルボクサーディーゼル」と呼ばれる水平対向4気筒ディーゼルエンジンは、『レガシィ』に搭載され3月のジュネーブモーターショーで発表。即日欧州で発売される予定だ。
プレゼンテーションの冒頭、スバルヨーロッパ、倉持社長のスピーチでは、環境・販売・ブランド構築のワイルドカードとしてこのボクサーディーゼルに大きな期待を寄せているとのことだった。
現在、レガシィと肩を並べる2リットル前後のセグメントでは、国によっては70%もがディーゼルエンジン搭載車で、他地域よりもガソリン車比率の高いドイツでさえも50%以上をディーゼルで占めるといわれている。その他の欧州各国でも乗用車のディーゼル比率はかなり高いレベルにあるのだ。つまり、いくらよいクルマを作ってもディーゼルでなければ販売競争力がないということになる。
さらには、やはり環境性能と経済性がポイントになるだろう。ディーゼルエンジンはCO2の排出量が少なく燃費もよいからだ。情報によると、ボクサーディーゼルを搭載したレガシィは、欧州の一般路でのテストで燃料満タンから1100kmも走るというのだ。これには、スバルも相当な手ごたえを得たのではないだろうか。
実際に、スペインで催された国際取材会では、かなりアクセル開度の高い状態で200km以上の距離を走破しても、燃料計の針は5分の2程度しか減らなかった。
さて、今回のボクサーディーゼル仕様が欧州のモデルラインアップの中でどのようなポジショニングなのかといえば、欧州には2.0、2.5、3.0リットルの自然吸気ガソリンエンジン搭載車がモデルラインに並ぶのだが、ちょうど2.5リットルと3.0リットル(ともに自然吸気エンジン)の中間に位置づけられる。
ディーゼルになったことで装備上特筆されるもののひとつに寒冷地での暖房対策が挙げられる。
これは、ディーゼルは熱量が低いため気温が低いとヒーターの性能が落ちることから、ホットガスシステムと呼ばれる家庭用エアコンにも採用される装備とPTCヒーター(電熱式)のダブルの暖房システムで対処しているのだ。