Aピラーが切り立っており、かつ根元はかなり前進している。運転席から見る前方視界は、景色を四角い額縁で切り取ったような感覚だ。ふと左横に視線を向ければ、横長いフロントドア・ウインドウ越しに景色がサーッと流れて行く。
新しいものは苦手である。なんたって取扱説明書が読めないし。だから電気自動車って言われても、やれ航続距離が短いだの、やれ充電場所がないじゃんだの、見合いの相手の粗探しよろしく、欠点探しばかりしていた。
コンパクトと謳う割には、それほどコンパクトボディではないのだけど、それでも私はこの『CT200h』を女性に薦めたいと思った。これまでのハイブリッドカーになかったものを、このクルマに感じたからだ。
乗り込んでシートに腰を下ろすだけで、このクルマのキャラクターが伝わってくる。国産の大型ミニバンのようにヨイショとシートに登る感じはなく、腰を水平移動するような感覚。着座姿勢もあまりアップライトではなく、乗用車的にゆったり座れる。
全長が4.6mを超えるスポーツセダンの『S60』に1.6リットルエンジンとは……。世の中、変わったものだ。しかもこの直噴ターボは充分以上に速い。
日本のほとんどの軽自動車が3気筒エンジンだから、それより小さな2気筒エンジンで875ccというのは、いったいどんな感覚なのだろうとワクワクしながら走らせた。ブルルンッという目覚めの音に続いて、ボロロロというバイクにも似たアイドリング音が聞こえてくる。
コンソールのドライブモードスイッチで「SPORT」を選ぶと、メーターパネル上部の照明色が青から赤に変わると共に、左側のパワーメーターがタコメーターに切り替わる。針はそのままで目盛りだけ変わるという巧い仕組みだ。
レクサス『CT200h』は、日産『リーフ』と同様に独自の企画性をもった稀な和製ハッチバックモデルである。
「成功した初代のモデルチェンジは難しい」という自動車業界の教訓を、2代目『ヴィッツ』は見事にクリアした。「2代目で身上をつぶす」という世間の教えをクリアすることが、新型ヴィッツに課せられた使命だ…としたら、さぁ、どうだろう?
コイツは新車で買えるクラシックカーだ。レトロモダンなカタチのことを言っているんじゃない。