今回のワンポイント確認は、「イタリアのクロスオーバーは、日本の道に似合うのか」である。
フィアットはイタリアの国民車である。私も1990年代にイタリアで生活していたときは『UNO(ウーノ)』が相棒だった。その頃はサスペンションもやわらかく、ラウンドアバウトをきゅきゅーっと走り抜けるためのやわらかく粘りのある味付けだとうなずいていたけれど、昨今の乗り心地はやわらかさ控えめのおりこうさんである。
とはいえ、デザインは相変わらずのやんちゃぶり。フィアット 600も街で見かけたら思わず二度見する眠そうなヘッドライトが秀逸である。
◆スタート加速を見事にアシストするハイブリッド
フィアット 600ハイブリッドコンパクトで馴染みのある『500(チンクエチェント)』より少し大柄なクロスオーバーの600(セイチェント)。全長4200mm、横幅1780mmは、複数名で乗車する機会の多い人にとって、ちょうど使いやすいサイズである。高さの1595mmは立体駐車場を使いたい人には残念だけれど、そもそも立駐使いはクロスオーバーを選ばないのだからここでケチをつける必要はあるまい。
エンジンは、1.2リットル+ターボのハイブリッド(以下HV)。このHVが秀逸で、スタートの加速を見事にアシストする。最初の出だしがスムーズでパワフルで、ストレスがまったくない。しかも静か。面白いのは、エンジンの回転数が数値で表示されること。一般的にはタコメータは時計の針のように動くのだが、目の前に「1400」「1800」といった感じで数字がつきつけられる。
正直なところエンジン回転数を意識しながら走る人はそこまで多くないので(女性誌の編集さんに、エンジン回転数ってなんですか?と聞かれたこともある)、表示する必要はあるのかと思わないでもないが、エンターテイメント視点でいけば、数字表示は面白い発想だと思う。なんたってモーターだけで走っているときは「0」なので、一瞬、え? と二度見してしまう。こういう感情の起伏を呼び起こす楽しさの演出もイタリアのフィアットらしい。
◆一番の評価ポイントは、そのサイズ感
フィアット 600ハイブリッド
ハンドリングは、低速時は軽い。もっと正直に書くと、ゆるい。あらあら、こんなに軽くってとおどろくものの、速度が上がるにつれて手応えはしっかり出てくるし、高速道路では安定してくる。つまり、街中では、くるくると操作できるので、握力の弱い女性には使いやすい。そして、最小回転半径は5.3mということだが、Uターンや鋭角に曲がるカーブでは期待以上にくるりと向きを変えるように回ってくれるのでとてもありがたい。
一番の評価ポイントは、そのサイズ感だろう。車内は必要十分な広さ。後席も、足元も頭も大人でも無理なく座れるし、荷室も広い。さらに街中で取り回しのしやすいバランスのよさだ。大きすぎない、背が高すぎないということは、存在自体がかわいらしい。店やSAPAなどの駐車場に停めやすく、用事をすませてもどってきたときに「待ってたよ」と呼びかけてくるようなとぼけた顔にほっとする。
◆イタリアのクロスオーバーは、日本の道に似合うのか
今回のワンポイント確認「イタリアのクロスオーバーは、日本の道に似合うのか」は、単に通勤や通学などの移動だけでなく、遊びにいく時の多人数+荷物載せを含めた乗り方にももってこい。日本の道に似合うのは間違いなく、さらにデザインも女性にも似合っていて、だんぜんお勧めなのである。
フィアット 600ハイブリッド■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。









