前夜の飲酒が翌日の運転に影響も 12月の飲酒運転に注意喚起

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日本自動車連盟(JAF)大阪支部は、忘年会や帰省で飲酒の機会が増える12月に向け、飲酒運転防止の注意を喚起している。

◆飲酒運転による死亡事故件数は増加

内閣府の「2025年版交通安全白書」によると、2024年中に自動車、自動二輪車、一般原動機付自転車の運転者が飲酒運転をしたことによる交通事故発生件数は2346件で、前年と同数であった。いっぽう、死亡事故件数は140件となり、前年より28件増加している。

●ユーザーテストを実施

JAF大阪支部は、飲酒が運転に与える影響を検証するため、ユーザーテストを実施した。6人のモニターが運転シミュレーターを使用し、飲酒直後と翌朝に走行を行なった。その結果、飲酒直後だけでなく、翌朝でも運転操作が乱れるなど、アルコールの影響が残ることが確認された。

テストでは、飲酒直後および翌朝ともに、左右やミラーの確認が不十分となり、死角から飛び出す子どもや自転車を見落としやすくなる傾向も見られた。

●飲酒運転を絶対しない、させない!

JAFは「お酒を飲んだら絶対に運転しない、させない」ことを呼びかけている。翌日にアルコールが検出されなくても、眠気や体のだるさなど体調不良を感じる場合は運転を控え、公共交通機関や運転代行の利用を勧めている。また、周囲の人も、運転予定の人に飲酒を勧めたり、飲酒した人に運転させたりしないよう注意が必要だとしている。

◆飲酒直後だけでなく翌日も危険、シミュレーターで検証

JAFは、飲酒が運転に与える影響が翌日まで続くかを検証するユーザーテストを実施し、飲酒直後だけでなく翌朝でも運転操作や判断能力に影響が残ることを明らかにした。

●飲酒前、飲酒直後、翌朝にテスト

飲酒運転は重大な事故につながる行為であり、法改正や厳罰化により事故件数は減少傾向にあるものの、根絶には至っていない。こうした背景からJAFは、飲酒が人体や運転行動に与える影響を検証した。

テストには6人のモニターが参加し、運転シミュレーターを用いて市街地や山道など複数のコースを走行した。飲酒前、飲酒直後、翌朝(飲酒開始から10時間後)の3つのタイミングで、運転ミスや事故の発生状況を比較したほか、アルコールチェックや歩行テスト、インタビューも行った。

その結果、飲酒直後はハンドルやアクセル、ブレーキ操作が雑になり、壁への衝突や急加速、判断ミスによる事故が確認された。さらに、飲酒直後だけでなく翌朝も、飲酒前と比べて操作ミスや確認、判断ミスが増加した。

●アルコールが検出されない場合も

翌朝のテストでは、呼気中にアルコールが検出されない場合でも、体のだるさや眠気を訴えるモニターがおり、運転パフォーマンスの低下を自覚する声が複数聞かれた。

また、アイトラッキングを用いた視覚機能の検証では、飲酒直後と翌朝のいずれも、左右やミラーの確認が不十分となり、死角から現れる子どもや自転車を見落とす傾向が見られた。飲酒前は広い範囲を確認していたが、飲酒後は正面のみを注視し、視野が狭まる様子が確認された。

●「お酒に強い」といった認識は危険

JAFは、飲酒が視野や判断能力に影響を及ぼし、その影響が翌日まで続く可能性があるとしている。「お酒に強い」「短距離だから大丈夫」といった認識は危険であり、飲酒後は絶対に運転しないこと、翌日であっても体調が優れない場合は運転を控え、公共交通機関や運転代行を利用することが重要だと呼びかけている。

《高木啓》

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