トヨタ自動車の豊田章男会長が、欧州最大級のメディア企業シュプリンガー社から、「ゴールデンステアリングホイール」生涯功労賞を受賞した。
ゴールデンステアリングホイールは1976年に創設され、欧州自動車業界で最も権威ある賞の一つとされている。中でも1983年に設けられた名誉賞は、自動車業界に多大な貢献をした重要人物に贈られる最高の栄誉である。
豊田氏は2009年、困難な市場環境と厳しい経営状況の中でトヨタ自動車の社長に就任した。その後数年間で、欧州を含む主要市場において財務および事業実績を大幅に改善させた。2023年に会長に就任した現在も、「モビリティ・フォー・オール」や「誰一人取り残さない」といった豊田氏の重要な理念は、トヨタの方向性と成功の基盤となり続けている。
審査員は豊田氏の卓越した能力を称賛し、「ドライバーのためのゴールデンステアリングホイール」という言葉で表現した。これはトヨタ組織を導く経営者としての手腕だけでなく、情熱的な自動車愛好家でありマスタードライバーとしての役割も評価したものである。
豊田氏は、自身の成長において特別な役割を果たしたニュルブルクリンクについて、恩師である成瀬弘氏から受けた挑戦を振り返った。「運転のことを何も知らない立場の人間が、車について軽々しく発言すべきではない。せめて運転を学ぶべきだ」という直接的な挑戦を受け、豊田氏は成瀬氏の指導のもと、着実に運転技術を向上させていった。
その後、豊田氏は「モリゾウ」という名前でニュルブルクリンクに何度も参戦し、有名な24時間レースにも出場。現在はトヨタとレクサスの両ブランドでマスタードライバーとして認められている。
『Auto Bild』誌のロビン・ホルニッヒ編集長は、豊田氏の受賞理由について、「彼は国際自動車業界で最も影響力のある人物の一人であり、同時に最も情熱的な人物でもある。伝統、技術、そして真の運転への情熱の融合を、彼ほど体現している人物はいない」と語った。
豊田氏は受賞について、「生涯功労賞をいただけることは大変な名誉。まるで高校時代に戻って、憧れのグループに誘われたような気分だ。それほど私にとって大きな出来事」と喜びを語った。
一方で、業界が100年に一度の変革期に直面する中、協力の重要性を訴えた。「自動車業界にとって困難な時期であることは誰もが認めるところ。今こそ互いに手を差し伸べ、これまで以上に協力し合う必要がある。それぞれのリソースを使って、人々の生活をより良くする責任があると考えている」と述べた。



