シトロエンは、ABB FIAフォーミュラE世界選手権に初参戦するために開発したEVレーシングカー、『GEN3 Evo』を初公開した。
【画像】シトロエンのフォーミュラE参戦マシン「GEN3 Evo」
このマシンは、Stellantis Motorsportが長年にわたり培ってきたフォーミュラEでの知見と技術を結集したもので、チームを率いるのは経験豊富なシリル・ブレだ。
ドライバーには、フォーミュラEで数々の栄冠を手にしたジャン=エリック・ベルニュ(フランス)と、近年急成長を遂げたニック・キャシディ(ニュージーランド)という、実績と実力を兼ね備えた二人が名を連ねる。
シトロエンのフォーミュラE参戦マシン「GEN3 Evo」公式テストは10月27日にスペインのバレンシアで行われ、12月6日、ブラジルのサンパウロePrixで実戦デビューを飾る。
シトロエンのザビエ・シャルドンCEOは「シトロエンがフォーミュラEに公式参戦できることを心から誇りに思う。モータースポーツは60年以上にわたりシトロエンの歴史と伝説を築いてきた存在であり、ブランドの情熱そのもの」とコメント。
今回公開されたシングルシーター「GEN3 Evo」は、フォーミュラE史上最速の電動マシンだ。最高出力は350kW(約470hp)、0-100km/h加速はわずか1.86秒、最高速度は約320km/hに達する。
前後2基のモーターを搭載し、最大600kWのエネルギー回生を実現。レース中に消費するエネルギーの約半分を再利用できる。軽量かつ強度の高いカーボンモノコックシャシーを採用し、FIAの厳格な安全基準を満たしている。
シトロエンのフォーミュラE参戦マシン「GEN3 Evo」
このマシンは、パリ近郊サトリーにあるStellantis Motorsportの拠点で開発され、ディレクターのジャン=マルク・フィノの指揮のもと、11年にわたるフォーミュラEでの経験を活かしている。
マシンには、フランスの誇りを象徴するトリコロールのデザインを大胆にあしらった。フロントには情熱を象徴する鮮烈なレッド、続いてホワイトとエレクトリックブルーが流れるように配置され、スピード感とエネルギーを表現している。
ドライバーのジャン=エリック・ベルニュは、フォーミュラE初の2連覇王者であり、F1やWECでも活躍する実力者だ。「シトロエンとともに新たな歴史を築けることを誇りに思う」と語る。
一方、ニック・キャシディは、日本でF3、Super GT、Super Formulaの三冠を達成し、フォーミュラEでは11勝・25回の表彰台を獲得したトップドライバーだ。
シトロエンのフォーミュラE参戦マシン「GEN3 Evo」フォーミュラE参戦は、シトロエンにとって単なる競技への挑戦ではない。60年以上にわたるモータースポーツの歴史を背景に、再びサーキットに戻ることでブランドのDNAを改めて示し、バッテリー制御やエネルギー回生、ソフトウェア戦略といった電動化技術の進化を加速させる。
さらに、フォーミュラEはISO 20121認証を取得し、カーボンニュートラルを目指す持続可能な選手権であり、シトロエンの電動化に対する構想と深く結びついている。都市の中心で開催されるレースは、若い世代やデジタルに親しんだ層とつながる絶好の機会でもあり、世界でのブランドの存在感を一層高める舞台となる。






