ボルボカーズは10月23日、2025年第3四半期(7~9月)の決算を発表した。
グループ営業利益(EBIT)は前年同期比10.3%増の64億スウェーデンクローナ(SEK)、営業利益率は7.4%だった。
前年同期比で営業利益は増加し、これは一部の特別項目と180億SEKのコストおよびキャッシュ改善計画の効果によるものだ。計画は変動費および間接費の削減を計画以上の速さで達成しており、人員削減は第四四半期までに完了する見込み。総計で3000人の削減により、より効率的で機敏な組織体制を構築する。
小売販売台数は前年同期比7%減の16万0514台だったが、9月には英国やオーストリア、トルコ、カナダ、ブラジル、メキシコで過去最高の販売を記録し、販売回復の兆しも見える。
売上高は864億SEK。製造拠点の休暇や新型完全電気自動車『EX60』への投資、スロバキアのコシツェ工場建設、中国成都の『ES90』生産増加、ベルギー・ゲントの『EX30』生産拡大などによりフリーキャッシュフローは季節要因でマイナスとなった。
ホーカン・サムエルソンCEOは、「厳しい市場環境下でも堅実な結果を出し、コスト削減計画は効果を上げている。9月に販売が回復し、BEV車の販売促進を加速している。2026年1月のEX60発売に向け順調に準備を進めている」とコメントした。
地域別戦略も進行中で、中国では次世代長距離ハイブリッド『XC70』を8月に発売し好評を得ている。米国では2020年代末までにサウスカロライナ工場で新しいハイブリッドモデルを追加生産し、ベストセラー『XC60』と併せて生産能力を向上させる計画だ。完全電気自動車のラインアップ拡充も継続しており、ES90の路上走行開始、EX90の生産増加、ベルギーのゲント工場でのEX30生産も加速している。
2026年1月発売の完全電気SUVのEX60は最重要モデルであり、中型SUVセグメントでの電動化推進と成長の鍵となる。最終走行テストが進行中だ。
短期的には景気の不透明感や米国の輸入関税影響などの課題が続く見込みだが、米EU間の関税合意により輸入関税が低減されるなど透明性が高まり、今後のコスト改善効果も期待される。完全電気車の販売拡大に努めつつ、売れ筋のXC90・XC60プラグインハイブリッドも人気で、完全電動以外の顧客も取り込む橋渡しとして機能している。新製品アーキテクチャへの大型投資は間もなく完了し、それ以降は投資額を大幅に削減し、資本の厳格な管理を維持する方針だ。