近年のクルマは電子制御も進みユーザーレベルのエンジンメンテナンスが難しい傾向にある。しかし経年で確実に汚れるエアクリーナーはメンテが必要なパーツなのでDIYで点検&交換を実施しよう。
◆エアクリーナーはDIYでもできる基本的なメンテナンス(交換の敷居は低い)
クルマの電子制御化がますます進んだ昨今、ユーザーレベルで手を出せるメンテナンス項目は少なくなっているのは事実だ。しかし、快適にドライブするために欠かせない項目も少なからずあるので、定期的にチェックしてみよう。
そのひとつがエアクリーナー(エアエレメント、エアフィルターなどとも呼ばれる)だ。エンジン関連のメンテナンスはハードルが高いと思っているユーザーも多いが、エアクリーナーは比較的交換も容易で、DIYでメンテナンスできるため、チャレンジしてみると良いだろう。
そもそもエンジンは、霧化したガソリンと空気を混ぜた混合気をエンジン内に送り込んで燃焼させ、駆動力を発揮している。そのため、ガソリンの供給と同じく、空気の正しい供給はエンジンの調子をキープする上で必須だ。供給される空気量が不安定になるとエンジンの不調につながりかねない。そのカギを握っているのがエアクリーナーである。空気中にはチリやホコリ、砂、煤煙などの汚れが浮遊している。そんな汚れた空気をエンジンに送り込むとトラブルの元になる。そこで、いったん空気をクリーナーに通してきれいにし、エンジンに送る役目を果たしているのがエアクリーナーなのだ。
空気の汚れを濾し取るフィルターの役目を果たしているエアクリーナーなので、使用していくと徐々に汚れてくるのは当然だ。エアクリーナーの構造は濾紙のような目の細かなフィルターを用いたもので、使用後のエアクリーナーを見たことがある読者ならわかるだろうが、想像以上にフィルター部分が黒ずんで汚れてしまう。長期間交換していないエアクリーナーは真っ黒になっているケースもあるほどで、それほど空気は汚れているということだ。
◆点検のやり方(場所の見つけ方と開け方)
そこでDIYで実施したいのがエアクリーナーの点検だ。エンジンルームをのぞくと、エンジンのすぐ近くにパイプでつながっているエアクリーナーボックスがある(プラスチック製の箱状のパーツ)。車種ごとに設置位置も形状も異なるのでまずはこれを見つけよう。エアクリーナーボックスはエンジンルームの表層に設置されていることがほとんどで比較的容易にアクセスできる。
次にボックスのフタを開けて内部に入っているエアクリーナーを目視する。ボックスのフタはクリップやビスなどで固定されている。開けると、中に濾紙のようなフィルター形状を備えたエアクリーナーが見える。エアクリーナーはボックスの中に設置されているので、そのまま取り外しが可能。
取り出したエアクリーナーを見ると、部分的に煤けているような汚れが見えるのではないだろうか。少しの汚れであれば裏側からエアブローして汚れを吹き飛ばせば再利用可能だ。しかし、汚れが目立つようならば迷わず交換を実施しよう。エアクリーナーの交換目安は2万~3万km走行程度だが、走行条件によって汚れは大きく変わる。まずは、このように定期的に汚れを点検するのが良いだろう。一度点検を経験すれば、次からはスピーディにチェックできるので、季節ごとに点検してみると良い。
◆適合選びと交換のコツ(純正・社外の選択肢)
交換する場合は適合するエアクリーナーを用意する。エアクリーナーの形状は車種やグレードによって異なるので要注意だ。適合するエアクリーナーはカー用品店でも車種対応(純正交換タイプ)のパーツが販売されているが、入手しづらい場合には近くのディーラーで純正パーツを発注すると良いだろう。
作業はDIYでも問題なく進められる。交換時は、新しいエアクリーナーと汚れたクリーナーを横に並べて比較すると汚れの状態がわかりやすいため、一度経験しておくと良い。
エアクリーナーの交換メンテナンスは、“元の状態に戻す”行為なので、パワーアップなどの効果があるのではなく、燃費や走りのフィーリングが元通りになるメンテナンスだ。知らず知らずのうちにエアフィルターに汚れが堆積して走行性能が劣化していることも考えられる。常に最良の状態で愛車をドライブするためにエアクリーナーの点検~交換のサイクルを身につけておこう。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。