リファインバースと東レは10月21日、廃棄エアバッグや端材を再生したナイロン66樹脂素材の開発に向けて協業をさらに深化させるため、MOU(覚書)を締結したと発表した。
年間に廃車となる自動車はおよそ273万台とされており、廃棄されるエアバッグは約1900トンにのぼる。これまで使用されなくなった自動車に装着されていたエアバッグの多くはASR(自動車破砕残渣)として処理されており、ほとんどリサイクルされていなかった。
一方で、欧州連合(EU)における自動車の循環設計および使用済自動車(ELV)管理に関する規則案の影響により、日本国内においても再生材のさらなる供給・活用に向けた取り組みが進んでいる。しかし、エアバッグなどの複合材料は技術的な課題からリサイクルが進んでおらず、循環型社会の実現に向けた新たな解決策が求められていた。
リファインバースでは、シリコーンゴムとナイロン生地を分離する独自技術を開発し、2019年よりエアバッグを再生したナイロン素材「REAMIDE」(リアミド)の事業を開始した。全国各地の自動車解体事業者から自社で廃棄エアバッグを回収しており、現在では回収先企業は100社を超えている。
今回、さらなる高品質を追求したエアバッグ由来のナイロン66樹脂「REAMIDE」の開発に向け、東レとの協業を一層強化した。エアバッグの端材回収や廃車からの回収、シリコーンの剥離、洗浄、リペレット加工の工程をリファインバースが実施し、コンパウンド処方設計や量産を東レが実施するという役割分担で開発を推進する。
現在、ナイロン66樹脂に残存する異物をできる限り低減するため、剥離、洗浄、リペレット加工工程の最適化を進めており、従来品を上回る品質の「REAMIDE」の開発に成功した。開発した「REAMIDE」は、日本国内で回収されたELV由来のPCR(Post-Consumer Recycled)材として初めて東レの品質要望をクリアできるレベルにまで改良された。
今後も本取り組み推進することで、国内で廃車から回収するエアバッグを自動車用途に再利用するサプライチェーンの構築を目指している。