「DSPアンプ」と「ディスプレイオーディオが、車内リスニングの新たな定番へ![車載用音響機材変遷史]

「パワーアンプ内蔵DSP」が導入されたオーディオカーの一例(製作ショップ:イースト<大阪府>)。
  • 「パワーアンプ内蔵DSP」が導入されたオーディオカーの一例(製作ショップ:イースト<大阪府>)。
  • 「パワーアンプ内蔵DSP」が導入されたオーディオカーの一例(製作ショップ:イースト<大阪府>)。
  • 最新市販「ディスプレイオーディオ」の一例(カロッツェリア・DMH-SF900)。

クルマ社会が成熟してきた中で、車載用音響機材がどのように進化してきたのかを振り返る当連載。今回はその最終回として、現在のカーオーディオシステム構築法のスタンダードを解説する。さて、今はどうするとより良い音で音楽を楽しめるのか……。

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◆「DAP」+「外付けDSP」をシステムの核に据えるのが、今どきの定番だ!

これまで説明してきたように、90年代から2000年代前半までの「カーオーディオブーム」では、カーオーディオシステムのアップグレードを図る際には、まず「メインユニット」を交換することが多かった。そうすることで「ソースユニット」が高性能化し、さらに高度な「DSP」を手にでき、その恩恵として高音質再生を楽しめた。

しかし、2000年代中頃以降メインユニットが交換しづらい車種が増え、さらに「AV一体型ナビ」も普及し、「ハイエンド・メインユニット」の導入が難しくなっていく。結果、カーオーディオを愛好する人の数が徐々に減少していく。

だが2010年代の半ばに「ハイレゾ音源」が普及し、それを高音質に再生できる「DAP」が車内にも持ち込まれるようになり、それと「外付けDSP」が組み合わされる形が一般化する。こうしてハイエンド・カーオーディオの新たな楽しみ方が確立され、また改めて熱が再燃していった。

なお、この形は現在でも尖った層の中での定番となっているが、一般層における車載音響機材の現状はどうなっているのか……。

◆「パワーアンプ内蔵DSP」の導入が、初心者向けのシステムアップ法として定着!

結論から言おう。一般的なクルマにおける定番のシステムアップ法は、「パワーアンプ内蔵DSP」の追加だ。メインユニットが換えづらくなっている今、これを導入すればメインユニットはそのままで、高性能なDSPとパワーアンプとを両得できる。

このときには純正メインユニットをソースユニットとして使うことになる。このスピーカー出力をパワーアンプ内蔵DSPへ入力すれば、ラジオやテレビの音声も楽しめ、スマホを接続しているときには純正メインユニット経由でスマホ内のストリーミングアプリの音楽も再生できる。

さらに、スマホをパワーアンプ内蔵DSPにダイレクトに接続すれば、より良い音で音楽を楽しめる。純正メインユニットを介さずに音楽を再生できるからだ。

この形が、初心者に向いたシステムアップ法となっている。

◆「ディスプレイオーディオ」がますます人気となり、結果として進化も顕著だ!

ところで、純正メインユニットが交換できる車が減っているとはいえ、まだ一定数存在している。それらの車では、今でも市販のメインユニットへの交換がシステムアップの第一歩となっている。

現在、市販のメインユニットの中で人気を集めているのは、「ディスプレイオーディオ」だ。そして、「Apple CarPlay」や「Android Auto」に対応した機種が主流で、スマートフォンのナビアプリをディスプレイオーディオの画面上で便利に使える。

こうして市販ディスプレイオーディオへのニーズはますます高まり、多様な機種が登場している。その結果、全体的なレベルも向上しており、大型画面や高機能なモデルも次々とリリースされている。したがって、高機能なディスプレイオーディオをシステムの中心に据えれば、使い勝手の良いカーオーディオシステムを構築できる。

こうして、現在ではパワーアンプ内蔵DSPの追加導入か、市販のディスプレイオーディオへの交換が、初心者向けのシステムアップ法の定番となっている。

さて、この先はどのように変遷していくのだろうか。ドライブにおいて音楽が欠かせない存在であることは変わらないだろう。今後も車載用音響機材の進化は止まることなく続くだろう。

《太田祥三》

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