グランプリ出版は、自動車エンジンの性能を左右する要素のひとつであるバルブタイミングに焦点を当てた専門書『バルブタイミング エンジン性能の決め手』(新装版)を刊行した。
著者の藤沢公男氏は、日産自動車の日産大森ワークスに在籍し、レース活動に携わった後、チューニングのプロとして活動してきた経歴を持つ。本書では、その経験に基づき、カムシャフトやバルブまわりの構成部品といった吸排気系の要素を、基本から応用まで体系的かつ実践的に解説している。
4ストロークエンジンの性格を決定づけるカムシャフトとバルブタイミングは、設計やチューニングにおいて重要な要素であり、同時に最も難解な領域でもある。藤沢氏は、それらの要素がどのように関連し合い、エンジン特性に影響を与えるかを、豊富な知識と実績をもとに解き明かしている。
また、時代の進化とともに変化するチューニング技術の歴史にも言及。吸気管開閉バルブ装置や可変バルブタイミングシステムの登場により、従来の「高回転・高馬力至上主義」では得られなかった実用性とパフォーマンスの両立が可能になってきた経緯を振り返る。
吸排気系を構成する各部品:カムシャフト、ロッカーアーム(リフター)、バルブ、バルブスプリング、バルブシート、タペット隙間はそれぞれ密接に関係し合い、最適化のバランスが性能を左右する。本書では、そうした微細な関係性にも踏み込みながら解説を行ない、技術者やモータースポーツ愛好者にとって実用的な知識を提供している。
本書は、2011年に刊行された最終版をベースに、カバーデザインを一新した「品切れ再版」である。長年にわたり再版を望む声が多かった本書は、エンジン設計やチューニングの現場に携わる人々にとって、貴重な指針となる一冊だ。

『バルブタイミング』(新装版)
エンジン性能の決め手
著者:藤沢公男(ふじさわ・きみお)
元日産自動車/エンジンチューナー
発行:グランプリ出版
体裁:A5判・並製・216ページ
定 価:2640円(本体2400円+消費税10%)
目次
第1章 動弁系に関する基礎知識
第2章 バルブタイミングとは何か
第3章 実際のバルブタイミングの測定
第4章 バルブタイミング調整
第5章 バルブタイミングとチューニングの関係
第6章 バルブタイミングと性能
第7章 バルブタイミング関連事項
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