日本おけるトラック産業の発展のしかたは、乗用車のそれとは異なるという。グランプリ出版が『国産トラックの20世紀<改訂版>』を発行した。戦前・戦後と時代の要請に応えながら、大型車4メーカーを中心に、独自の成長を遂げたトラックの進化をたどる。
本書は国産トラック誕生の背景から始まる。20世紀初頭に自動車製造に乗り出そうとするメーカーの一部は、軍の希望に合ったトラックを製造し、優遇されることでメーカーとしての地歩を固めたのだ。それらのメーカーは第二次大戦後に民需転換を果たし、やがて4つの大型車製造メーカーに収斂されていく。
20世紀の後半に日本は高度成長期をむかえ、トラックは輸送力増強のために進化するとともに、メーカーは多種少量生産の体制を整える。大量生産を前提として成長を遂げた乗用車と対をなす。高度成長期が過ぎると、公害への対応、安全技術、キャビンの快適化による運転環境の改善など、乗用車とは違った進化を遂げる。
この足跡は、乗用車とはまた異なる日本の自動車技術発展史といえる。本書では20世紀に歩んだ国産トラックの足跡を、多数の図版とともに解説する。
グランプリ出版ではこれまで『小型・軽トラック年代記』(2023年6月発売)、『日本のオート三輪車史』(2023年8月発売)を刊行した。グランプリ出版では本書の改訂版を刊行し、日本の物流を支えた大小の自動車の足跡を網羅する。

『国産トラックの20世紀<改訂版>』
著者:中沖満+GP企画センター
発行:グランプリ出版
体裁:A5判・並製・232ページ
定価:2640円(本体価格2400円+消費税10%)
発売:2025年3月30日
本書は『国産トラックの歴史』(2005年10月26日初版発行)の内容を再確認し、2000年代初頭までの内容を抽出して改題、カバーデザインを一新して刊行した改訂版。
目次
第1章 量産自動車メーカーの誕生と戦前のトラック
第2章 戦後の混乱からの脱出(1945~59年)
第3章 4大メーカーによる多様化の時代へ(1960年代)
第4章 排気・騒音規制のなかの高性能追求(1970年代)
第5章 空力・電子制御・経済性の追求(1980~90年代初頭)
第6章 構造不況といわれるなかでの技術革新(1990年代~2000年代初頭)