西武鉄道は、小田急電鉄から譲受した8000系車両の西武線での運行開始を2025年5月末にすると決定した。西武鉄道が1月7日に発表した。大手鉄道事業者間では珍しい車両の移籍だ。西武鉄道では国分寺線で運行されることになっている。
西武鉄道では、他社から環境負荷の少ないVVVF制御車両を譲受して自社の旧型車と交代することで、環境負荷の軽減を意図している。このような“環境負荷の少ない他社からの譲受車両”を西武鉄道では「サステナ車両」と呼ぶ。なお8000系の小田急電鉄在籍時の車両形式は8000形だ。
サステナ車両1編成目となる8000系は、2024年5月に小田急電鉄から譲受後、7月より武蔵丘車両検修場において、安全装置の更新や車両デザインの変更などを行ない、2025年1月7日に主要な更新を終えて検修場を出場した。今後、西武鉄道各路線で走行試験や試運転、乗務員訓練などを行なう。当初の運行開始予定は2024度末だったが、若干遅れて2025年5月末の運行開始が発表された。
西武鉄道では、新造車両の導入と並行してサステナ車両の導入により省エネルギー化を推進し、2030年度までに車両のVVVF化100%をめざしている。抵抗器を使って直流モーターの出力を調整する抵抗制御の旧型車両に比べ、電子装置のインバーターで交流モーターを調整するVVVF制御は、使用電力量を約50%削減できるという。西武鉄道では、2023年度末在籍車両1221両のうち、約7割がすでにVVVF制御車両だ。
サステナ車両は100両を導入する計画。VVVF化100%を達成すると、使用電力量削減に伴ないCO2排出量は年間約5700tの削減になり、これは約2000世帯の排出量に相当する。また車両を新造するのではなくリユースすることで、製造時に排出するCO2を約9400t(100両合計)削減でき、移籍前の鉄道事業者では、車両廃棄時に排出するCO2を約70t(100両合計)削減できる。
西武鉄道はサステナ車両として、小田急電鉄からの8000形に加えて、東急電鉄から9000系を譲受する。西武鉄道では、池袋線・新宿線など本線系に新造車両を導入し、サステナ車両を国分寺線や西武秩父線などの支線系に導入する。東急電鉄9000系は多摩川線・多摩湖線・西武秩父線・狭山線で運用される。