フォックスコンが主導するEVプロジェクト「MIH」のリファレンスモデルが日本初公開…ジャパンモビリティショー2023

MIHのコンセプトカー『プロジェクトX(Project X)』(ジャパンモビリティショー2023)
  • MIHのコンセプトカー『プロジェクトX(Project X)』(ジャパンモビリティショー2023)
  • プレスカンファレンスに登壇するジャック・チェンCEO
  • プロジェクトX日本初公開(ジャパンモビリティショー2023)
  • MIHのコンセプトカー『プロジェクトX(Project X)』(ジャパンモビリティショー2023)
  • MIHのコンセプトカー『プロジェクトX(Project X)』(ジャパンモビリティショー2023)
  • MIHと協力企業
  • MIHブース(ジャパンモビリティショー2023)
  • Hakobune はMIHブースの一角にブースを構えている

台湾を本拠とするEV開発製造コンソーシアム「MIH」はジャパンモビリティショーに出展し、プレスカンファレンスを開催。CEOのジャック・チェン氏が来日し、コンセプトカー『プロジェクトX(Project X)』を日本で初公開した。

◆MIHコンソーシアムとは

MIH(モビリティ・イン・ハーモニー)は、台湾フォックスコン(鴻海科技集団)が仕掛けるEV製造コンソーシアムである。フォックスコンはiPhoneの約8割を生産しており、電子機器生産受託企業として質・量ともに世界トップクラス。サプライチェーンの構築やロジスティクス、生産のノウハウなどに膨大な知見を持っている。それらを分業化が進むEV製造に応用すべく始めたのがMIHということだ。

MIHの呼びかけに対し、世界中からサプライヤーを始めとする2700社以上の企業が集まった。この2700社と14のワーキンググループがそれぞれの知見を持ち寄ってEVを開発。必要なパーツやソフトウェアを選び、必要な台数をMIHが製造する。またMIHが提供する「MIH EVプラットフォーム」はオープンソースのEVプラットフォームで、拡張性とカスタマイズ性に優れているため、自社のニーズに合わせてEVを企画・製造することができ、EV業界への参入障壁を下げる役割を果たすとする。

MIHはこのプロジェクトを実行に移すため世界各地でEV工場の設立を進めており、フォックスコンの資金力を背景にアメリカ・中東・東南アジアなどで計画を進行中だ。

◆EVのひな形となるプロジェクトXをお披露目

今回のジャパンモビリティショーでは、『プロジェクトX』と呼ばれる3人乗りの小型EVコンセプトカーが日本初公開された。全長3020×全幅1840mmという小型ながら幅広のサイズで、1つの駐車枠に2台を駐車できるように設計されている。

プロジェクトXをお披露目したチェンCEOは、「このモデルはエントリーユーザー向けとして、またシェアカーやモビリティ・サービスプロバイダーでの利用を想定している。高品質な素材を使用した広々とした室内スペースを備え、自動運転の能力も備えている。またバッテリー交換によって航続距離の不安を解消する。またモジュールを追加することでプラットフォームを拡張し、6人乗りや9人乗りへの拡張も可能だ」とアピールした。

バッテリーは固定式のLFPリチウムイオンに加えて台湾Gogoroの交換式バッテリーも追加することができる。航続距離は150kmで、交換式バッテリーによって20kmの上乗せが可能だ。また自動運転の能力についてはニーズによって追加可能で、ロボットタクシーとして運行可能なレベル4までのカスタマイズも可能とする。

MIHのコンセプトカー『プロジェクトX(Project X)』(ジャパンモビリティショー2023)MIHのコンセプトカー『プロジェクトX(Project X)』(ジャパンモビリティショー2023)

◆MIHの車両を他社にライセンス提供

またプレスカンファレンスでは、Mモビリティに対してEVのリファレンスデザインをライセンス提供することも発表された。

Mモビリティは、インド大手財閥系の総合IT企業テックマヒンドラと戦略的提携を結び出資を受けている企業で、EVの設計開発支援や、データプラットフォームの開発実装、生産管理やサプライチェーンマネジメントを提供する。さらに、Mモビリティが住友商事のEVサブスク型カーシェアサービス「Hakobune」と提携し、車両の提供を目指すことも発表された。

MIHのEVをベースとした事業展開について、Hakobuneコーポレート業務部 部長の阪上孝弘氏は「当社は、従業員向けに通勤利用に適した小型のEVを安価でカーシェアすることを提案しており、そのようなニーズにマッチしている」とコメントした。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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