出光興産とトヨタ自動車は、バッテリーEV(BEV)用の有力な次世代電池である全固体電池の量産化に向けて、固体電解質の量産技術開発や生産性向上、サプライチェーン構築に両社で取り組むことについて、10月12日に合意した。
◆全固体電池は高容量・高出力
全固体電池の材料開発等で世界をリードする両社が連携することで、2027~28年の全固体電池実用化(トヨタは2023年6月に公表済み)をより確実なものとし、その後の本格量産をめざす。
これまでカーボンニュートラル実現に向け、両社はそれぞれの得意分野で次世代のエネルギー問題解決策を模索。出光は新エネルギーの社会実装に、トヨタはBEV開発に注力している。特に、全固体電池は、高容量・高出力が可能な硫化物系固体電解質を利用し、その量産化に期待が寄せられている。
トヨタ自動車の佐藤恒治代表取締役社長は、「全固体電池は、電解質が固体であるため充電時間の短縮や航続距離の拡大が可能とされている。様々なタイプの自動車に適合し、多様なニーズに応える」と期待する。
◆亀裂による耐久性が課題
しかし技術的な課題も存在する。特に、充放電のサイクルで発生する亀裂による耐久性の問題が大きい。佐藤社長は「これに対し、出光は早期から固体電解質の要素技術を開発していた。トヨタとの技術融合により、全固体電池の耐久性と性能の向上が見込まれる」と、協働の意義を説明する。