【スズキ Vストローム1050DE試乗】頼もしく誇らしい気持ちになれるビックアドベンチャー…鈴木大五郎

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スズキ Vストローム1050DE
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◆フロント21インチホイールが醸し出す凄み

人気のアドベンチャーツアラー、Vストロームシリーズの頂点に君臨する1050は、高剛性のアルミフレームに1036ccVツインエンジンを搭載。6軸IMUを搭載し、高次元での電子制御を備えたマシンに熟成されている。

スズキ Vストローム1050DEスズキ Vストローム1050DE

キャストホイールを履いたスタンダードな位置づけの1050と、ホイールをワイヤースポークタイプに換装し、エンジンガード等を装備したオフロード風味の強いXTの2本立てでこれまでラインナップされてきたが、2023年モデルではXTが廃止され、スタンダード仕様をバージョンアップさせ、新たに1050DEがラインナップに加わった。

スタンダードに対するXTに施されていたオフロード風味をさらに増量。フロントホイールが21インチに換装され、サスペンションストロークもプラス10ミリほど伸ばされている。それらによってより迫力あるスタイリングとともに、ダート路面での走行性能を高めている。ちなみにDEとはDUAL EXPLORERの略で、オンオフ問わず走ることの出来る冒険者といった意味だそう。

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オフロードを走る。あるいはどれだけ走れるかの走行性能を差し置いたとしても、このフロント周りの迫力は魅力的だ。4輪でもそうであるが、大きなタイヤが着いているだけでなんだか凄みが増す。しかし当然のことながらシート高は高まり、Vストローム史上もっとも高い880ミリ。少なくとも身長165センチの私にとってはなかなかな高いハードルであり、ストップ&ゴーの多い市街地や取り回しには気を使った。

◆アウトバーンの超高速区間でも通用するであろう、直線安定性の高さ

しかし、走り出してしまえばみるみる不安感が薄れていく。とにかくアイポイントが高くて気持ちが良い。もう、二度と停車したくないほどの(2つの意味があるが)爽快感が得られる。エンジンモードは3種類あってそれぞれピックアップやパワー感が異なる。ドコドコドコと心地良い鼓動を感じさせながら低回転域から力強いトルクを発するとともに、パワフルに吹け上がっていく。もともとはTL1000に発端をなすスポーティなエンジンであるからロード性能は得意な分野でもあるのだ。

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先日イタリアでテストした800DEもしっかり直線安定性を作り込んできていたが、1050DEはそれに輪をかけて安定性が高い。フル加速しようがフルブレーキしようが、車体はびくともしないというか全然余裕な車体周りである。新東名の120キロ区間どころか、アウトバーンでの超高速区間を睨んだ設計であるかのように安心感が高い。クルーズコントロールの装備もあって、どこまでも行けそうな雰囲気である。

そして長い歴史を誇るとともに熟成を重ねたVツインエンジンはやはり素晴らしいフィーリング。レイアウト的に前後長が長くなるとか、荷重配分が…などといった声は良く聞くものの、反面重いパートがマシンの芯に近い位置にあって一体感がとても強い。また、フロント荷重が少ないことがネガのように語られることも少なくないのであるが、逆に軽快なハンドリングに結びついているといったメリットもあり、Vツインエンジンの良さを再認識したのである。

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車体は800DEでも感じたところだが、21インチらしい癖がほとんどなく、イメージ的には19インチを履かせたようなフィーリングとなっている。ワインディングで連続するコーナーを振り回すかのようにクリアしていく感触も楽しい。

もちろん、タイヤのエッジ付近に近づいた際のグリップ感が薄くなっていく感触は19インチには及ばないものの、それは17インチに対する19インチであっても同じようなものでもある。そもそもこのマシンでそこまでディープに攻めるのか?と問われれば疑問でもある。その代わりに得ることができた性能を大いに楽しもうという気持ちになれる。

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◆オンでもオフでも垣間見れる乗り心地の良さ

そして乗り心地という大切な要素をしっかり高めている。荒れた路面での車体への影響は1050史上最も低く…いや、これは荒れていなくとも至極快適である。ロードモデルっぽさの強いスタンダードの良さもあるけれど、DEの良さも捨てがたい魅力である。これはホイール径だけでなくサスペンションのストロークアップを含めた設定によるものだろう。

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ちなみに走破性をあげたという未舗装路での走りであるが、正直この足つき性で不安なく突入出来るというライダーはかなりの体躯の持ち主…あるいは相当ウデに自信のあるライダーかもしれない。気乗りしないものの、ちょっとした砂利道で走行をはじめるも、「これは結構行けそうだぞ!」と油断しそうになりそうな感触が確かにあった。800DEにも感じられた、グラベルロードをやり過ごすのではなく、しっかり楽しめるポテンシャルが備わっていることが感じられたのである。

適度にスライドを許容しつつもスリップダウンのリスクを抑えるグラベルモードを搭載することで、アクセル操作に神経質になり過ぎることなく、よりイージーに走らせることが出来る。流石に路面状況が著しく悪いところ、あるいはタイトコーナー等では神経を使うこととなるかもしれないが、それも含めてあらためて走りに行きたいと思わせるポテンシャルを感じさせたのである。

◆頼もしさと誇らしさを感じさせるビックマシン

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今回は都合300キロほど走らせたが、走り始めの「大きいなぁ」といった印象も最終的には頼もしさに変わっていったのである。もちろん、マシンから降りた際にあらためて見れば「やっぱり大きいなぁ」なのだけれど、むしろそれは誇らしい気持ちであって、アドベンチャーマシンの持つ魅力をしっかりと具体化している姿でもある。

フロント19インチのスタンダードが存続するなかで、少しベクトルの異なる兄弟車をラインナップするだけでなく、作り込みの確かさを感じさせる大歓迎のDEの登場であったのだ。

スズキ Vストローム1050DEスズキ Vストローム1050DEスズキ『Vストローム1050DE』の公式ページはこちら

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★

鈴木大五郎|モーターサイクルジャーナリスト
AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

《鈴木大五郎》

鈴木大五郎

AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

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