EUがエンジン搭載車禁止を撤回、2035年以降も合成燃料の車両が可能に[新聞ウォッチ]

独カールスルーエ工科大学が試作したe-fuel(2019年)
  • 独カールスルーエ工科大学が試作したe-fuel(2019年)
  • 独バルト海で航行する、e-fuelのフェリー(2021年)

“呉越同舟”の組織には、“朝令暮改”もありがちなことだが、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が、ガソリン車の販売を2035年以降に禁止する方針を転換し、条件付きで認めるという。

二酸化炭素(CO2)と水素を合成して作る液体燃料「e-fuel」(イーフューエル)のみを使用する車両は販売できるようにするそうだ。

3月26日の朝刊各紙が「エンジン搭載の新車販売、EU、35年以降も容認、方針を転換」などと報じていた。それによると、欧州委員会では2021年7月、乗用車や小型商用車の新車によるCO2排出量を35年までにゼロにする規制案を発表。ハイブリッド車(HV)を含むガソリン車の販売を事実上禁止し、電気自動車(EV)や燃料電池車への移行を促す内容で、欧州議会も22年10月にEU加盟国と合意した。

ところが、自動車が基幹産業のドイツが今年2月、イーフューエルを使用する車両は認めるべきだと主張。イタリアなど他の加盟国の一部も同調したという。

イーフューエルは燃焼時にCO2を排出するが、工場などから出るCO2を原料とするため環境負荷が低く、脱炭素につながる燃料として期待されている。温暖化ガス排出をゼロとみなす合成燃料の利用に限り販売を認めるのは、ドイツの反発を受け入れた格好だが、合成燃料はガソリンの2~5倍と高額で、船舶・航空のほか、高級スポーツカーなど限定的な利用にとどまる公算が大きい。

ただ、「日本勢が強いハイブリッド車(HV)を排除するなどEV一辺倒だったEU。課題は多いものの現実的な修正に動き出した意義は小さくない」(日経)とも伝えている。

2023年3月27日付

●「九州は車両墓場」払拭「乗りたくなる」列車開発(読売・4面)

●ひと:猶野喬さん、自動車の基準を決める国際組織の副議長に就いた官僚(朝日・2面)

●旅券申請オンラインで、06年度に一時廃止、外務省、きょう再導入(毎日・23面)

●内閣支持48%、不支持上回る、本社世論調査(日経・1面)

●EU、エンジン搭載車禁止撤回、合成燃料、利用は限定的(日経・5面)

《福田俊之》

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