2023年のF1エントリーリスト発表…レッドブル系チームのパワーユニット名は「ホンダRBPT」

レッドブルのF1マシンには「HONDA」のロゴが2022年日本GP(写真)から復活した。
  • レッドブルのF1マシンには「HONDA」のロゴが2022年日本GP(写真)から復活した。
  • 日本GPで2022年のF1ドライバーズタイトル獲得を決めたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。
  • 日本GPで2022年のF1ドライバーズタイトル獲得を決めたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。
  • #1 レッドブル(2022年日本GP)
  • 角田裕毅は来季2023年、アルファタウリでF1参戦3年目を迎える(写真は2022年アブダビGP)。
  • #22 アルファタウリ(2022年アブダビGP)
  • #16 フェラーリ(2022年アブダビGP)
  • #63 メルセデス(2022年アブダビGP)

15日、FIAが2023年F1世界選手権のエントリーリストを発表した。レースシートを争う“ストーブリーグ”は既に終結しており、そこに新たな発見はないが、レッドブルとアルファタウリのパワーユニット名が「ホンダRBPT」となっている。

◆MAKE OF THE ENGINEの欄に「Honda RBPT」

このリストは「車番/ドライバー名/社名/チーム名/シャシー名/エンジン銘柄」という6つの要素の一覧で構成されており、ドライバー名が一般に知られている呼び方よりも“長く”なっている場合などがある。今回のリストでいえば、セルジオ・ペレスはSergio Perez Mendoza、フェルナンド・アロンソはFernando Alonso Diazという記載になっている。

社名、チーム名、シャシー名は基本的には“同じ内容”を示す。フェラーリを例にすると、社名「Ferrari Spa」、チーム名「Scuderia Ferrari」、シャシー名「Ferrari」といった具合だ。

ただ、現在のアルファロメオの場合は、社名にチーム母体であるザウバー(Sauber Motorsport AG)の名が記載されており、そこにはアルファロメオの名は含まれない。アルファロメオはチーム名(Alfa Romeo F1 Team ORLEN)とシャシー名(Alfa Romeo)に出てくる。

チーム名には、いわゆるタイトルスポンサーの名称が含まれる場合があり、たとえばレッドブルは「Oracle Red Bull Racing」、アルピーヌは「BWT Alpine F1 Team」となっている。

現在、一般にF1チーム(F1コンストラクター)の呼称(通称)として多用されているのは「シャシー名」という解釈になるだろう(シャシー名からの部分抽出になっている場合もあり、たとえばレッドブルはレッドブル・レーシングがシャシー名の“フルネーム”。厳格にこちらが呼称として使われるケースもある)。

そして搭載するパワーユニット(PU)の名が「エンジン銘柄」(MAKE OF THE ENGINE)として記載されているのだが、レッドブル系の2チーム、レッドブルとアルファタウリのそれが今回、「Honda RBPT」となっている。これまでには見られなかった表現だと思われる。

◆ホンダ周辺の難解な状況は続く? 記録上の扱いは?

ホンダは2021年限りでホンダという名のPU供給は終了しているが、2022年は「レッドブル・パワートレインズ」(RBPT)という名のPUで実質的にレッドブル系2チームと共闘してきた(レッドブル・グループがRBPT社を2022年シーズンに向けて設立)。

RBPTへの“技術支援”というホンダのF1参画状況は2025年シーズンまでの続行も決定済み。HONDAのロゴも2022年10月の日本GPからレッドブル、アルファタウリのマシンに復活しており、来季2023年も継続されることが発表されたばかりだ(ホンダは今季2022年から四輪、二輪のモータースポーツ活動をHRC=ホンダ・レーシングに集約しており、HRCのロゴは2022年当初からレッドブル系2チームのマシンに掲出があった)。

そして今回、2023年のエントリーリスト上において新たな“変化”が生じた格好になる。これがどういう意味合いとをもつことになるのかは分からないが、いずれにしてもホンダ/HRCのPU名称と参画の実態、そして2026年以降の次世代F1に関する動き等々を巡る複雑で難解な状況はしばらく続きそうだ(レッドブル・グループ/RBPT社には2026年以降、フォードと提携という噂も浮上するなどしている)。

ホンダRBPTの“登場”による最大の問題は、記録上の扱いではないだろうか。2023年にレッドブルかアルファタウリが最初に勝ったとき、それはエンジン/PUの勝利としてはホンダの通算90勝目なのか、RBPTの通算18勝目なのか、それともあくまでホンダRBPTの初勝利なのか。ホンダに関しては2022年のRBPTの勝利数(17勝)を含めて、ホンダRBPTでの次の勝利が通算107勝目、という解釈も成立するかもしれない。なんらかの公式見解を待ちたいところだ。

◆2023年F1エントリーリスト

以下は2022年12月15日発表の“6要素リスト”から、一般的呼称等への意訳をしつつまとめたものになる。

レッドブル
#1 マックス・フェルスタッペン/#11 セルジオ・ペレス
(PU=ホンダRBPT)

フェラーリ
#16 シャルル・ルクレール/#55 カルロス・サインツ
(PU=フェラーリ)

メルセデス
#63 ジョージ・ラッセル/#44 ルイス・ハミルトン
(PU=メルセデス)

アルピーヌ
#31 エステバン・オコン/#10 ピエール・ガスリー
(PU=ルノー)

マクラーレン
#81 オスカー・ピアストリ/#4 ランド・ノリス
(PU=メルセデス)

アルファロメオ
#77 バルテリ・ボッタス/#24 ジョウ・グアンユー(周冠宇)
(PU=フェラーリ)

アストンマーティン
#18 ランス・ストロール/#14 フェルナンド・アロンソ
(PU=メルセデス)

ハース
#20 ケビン・マグヌッセン/#27 ニコ・ヒュルケンベルグ
(PU=フェラーリ)

アルファタウリ
#21 ニック・デ・フリース/#22 角田裕毅
(PU=ホンダRBPT)

ウィリアムズ
#23 アレクサンダー・アルボン/#2 ローガン・サージェント
(PU=メルセデス)

全20人のレースドライバーのうち、新人はピアストリ、デ・フリース、サージェントの3人(デ・フリースは1戦出走経験あり)。ヒュルケンベルグはレギュラー復帰になる(ハース加入は初めて)。ガスリーとアロンソが移籍で、他の14人は2022年シーズンからの残留だ。これらレースシートを巡るストーブリーグは11月に決着していたが、最近はチーム代表級の人事が忙しいF1界である。

2023年のF1は3月5日決勝のバーレーンGPにて開幕予定となっている(全24戦のカレンダーが組まれたが、中国GPの中止がアナウンスされており、その代替を巡る動きが続いている)。

《遠藤俊幸》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集