【日産 エクストレイル 新型】最高出力は同じ、FWDとe-4ORCE…違いは過渡特性

日産エクストレイル新型
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日産自動車が7月20日に発表したSUV、第4世代『エクストレイル』。パワートレインは全車シリーズハイブリッド「e-POWER」で、駆動方式はFWD(前輪駆動)と電動AWD(4輪駆動)の「e-4ORCE(イーフォース)」の2種類が用意される。

前アクスルの駆動用電気モーターはFWD、AWD共通。スペックは最高出力150kW(204ps)、最大トルク330Nm(33.6kgm)。型式は異なるが、能力的には同社のBEV(バッテリー電気自動車)『リーフe+』や『アリア』に近い。AWDはリアアクスルにもう1基、最高出力100kW(136ps)/195Nm(19.9kgm)の電気モーターが装備される。

システムとしての最高出力はFWD、AWDとも150kW。大型の電気モーターを複数積んでも実際の出力は内燃機関が回す発電機とバッテリーの電力供給能力が天井となるので、単純に前後の電気モーターの出力の合算値が最高出力とはならないのだ。

が、両者、動力性能が同じというわけではない。日産の技術解説資料によれば、静止状態から70km/h近辺まではAWDが駆動力でFWDを圧倒している。両者がイコールになるのは70km/hより上の領域だ。車両重量はAWDのほうが100kgほど大きいが、駆動力だけでなく加速GもAWDのほうがかなり上を行くというデータが示されていた。

見かけの最高出力は同じでもそこに至るまでの過渡特性の違いで動力性能に大きな差が出るという経験を、筆者はサブコンパクトカー『ノート』の「e-4WD」でしている。GPSを用いた0-100km/h加速を計測してみたところ、ノートのe-4WDのは7秒1。パワートレインの公称最高出力がたかだか85kW(116ps)というクルマのタイムではない。ノートもエクストレイルと同様、前アクスルの85kWモーターに加えて後アクスルに50kW(68ps)のモーターを装備しているので、実はエンジン発電とバッテリーから供給される電力のピーク値がFWDより大きいのではないかなどと想像したが、ピーク値は同じで過渡特性だけが違うとのことだった。

エクストレイルにも同じ理屈が適用されるのであれば、動力性能的により大きな期待を持てるのは断然AWDのe-4ORCEということになる。ただし、ノートと違ってエクストレイルのFWDはAWDに比べてモーターの最終減速比が加速重視のローギアード設定になっているため、ノートほど大きな差にはなっていない可能性もある。テストドライブのさいにはぜひ両者を乗り較べて違いを確かめてみるといいだろう。


《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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