すべき準備がもう1つある!?…タイムアライメント[サウンドチューニング]

「タイムアライメント」の設定画面の一例(フォーカル・FSP-8)。
  • 「タイムアライメント」の設定画面の一例(フォーカル・FSP-8)。
  • 「タイムアライメント」の設定画面の一例(三菱電機・ダイヤトーンサウンドナビ)。
  • 「タイムアライメント」の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。

現代カーオーディオでは、サウンドチューニング機能を使いこなせるか否かでも最終的なサウンドクオリティが変化する。当連載ではそれをユーザー自らも行ってみることを推奨し、操作手順とコツを解説している。現在は「タイムアライメント」の設定方法を紹介している。

さて、前回までの記事にて説明してきたとおり、「タイムアライメント」ではリスナーから各スピーカーまでの距離を測定することが第一工程となる。そしてそれが終わったら、「タイムアライメント」の微調整へと進むのだが…。

実は、その前にもう1つすべきことがある。それは「クロスオーバー」の仮設定だ。なお詳細な「クロスオーバー」設定が済んでいる場合にはもちろん、仮設定は必要ない。しかし済んでいない場合には、それを先に行おう。

なお仮設定において重要なのはズバリ、「位相」だ。「位相」とはこれまでにも何度か説明してきたように、「音波のタイミング」だとイメージしてほしい。音は、水面を伝う波紋のように空気中にて上下運動を繰り返しながら進んで行く。この上下運動のタイミングがツイーターとミッドウーファーで合わないと、サウンドのエネルギー感がしっかりと伝わってこない。そしてその状態では、「タイムアライメント」設定は行うべきではないのだ。

では、「クロスオーバー」の仮設定の手順を説明していこう。最初に、ツイーターとミッドウーファーの「カットオフ周波数」を仮設定する。これはスピーカーに付属しているパッシブクロスオーバーネットワークの値を参考にすれば良いだろう。その上でツイーターの「ハイパスフィルター」とミッドウーファーの「ローパスフィルター」の「スロープ」を、「−12dB/oct」に設定する。

なぜならば、「スロープ」を変えると「位相」が変化するのだが、「−12dB/oct」ではちょうど「位相」が反転するので、「位相切替スイッチ」の「正・逆」を「逆」にすると「位相」が合うのだ(2ウェイならツイーターの「位相切替スイッチ」を「逆」にすればOK)。

ちなみに「位相」が合っているか否かは、「正・逆」を切り替えたときに聴こえ方が大きく変わるかどうかに着目すると分かる。そして聴こえ方が大きく変わる場合には、「よりエネルギー感が強い(向かってくる感じが強い)」と感じられる方を選ぼう。なお「位相切替スイッチ」を操作しても聴こえ方が変わらない場合には「位相」がどっちつかずの状態であると判断できるので、スロープを「−18dB/oct」に変えてみよう。その上で「位相切替スイッチ」を操作して聴こえ方が大きく変わったらこっちのものだ。で、エネルギー感が強いと感じられる方に設定しておく。

こうしてツイーターとミッドウーファーの「位相」が合ったところで、いよいよ「タイムアライメント」の微調整を開始する。その手順は、次回以降の記事にて説明していく。乞うご期待。


《太田祥三》

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