いすゞ、EVトラックを今年度中に量産…ジャパントラックショー2022

いすゞ、EVトラックを今年度中に量産…ジャパントラックショー2022
  • いすゞ、EVトラックを今年度中に量産…ジャパントラックショー2022
  • 2019年1月から実証実験がスタート。
  • 13台のモニター車が使われ、総走行距離は35万kmにも及んだ。
  • 実際にモニター車として使われた『ELF EV』を展示。
  • 左右前輪のすぐ後ろにバッテリーユニットが搭載されている。
  • 急速充電ユニットも展示。
  • 航続可能距離は約100km。
  • LNG車の『ギガ』を展示。

パシフィコ横浜で2022年5月14日まで開催中の『ジャパントラックショー2022』。いすゞ自動車のブースでは、カーボンニュートラルへの対応について、社会インフラでもある物流業界にフォーカスした展示となっていた。

◆量産型EVトラックを今年度中にリリース

ブース内では、2019年から取り組んでいたEVトラックのモニター活動の軌跡がパネルとして展示され、紹介の最後には、量産型EVトラックを今年度中にリリースすると発表されていた。

展示スペースには、2019年1月~2022年1月まで、埼玉県三郷市でファミリーマートの配送トラックとして運用されていた『ELF EV』を展示。総走行距離は6万2244kmにも達していた。バッテリーは39.5kWhのユニットが2個搭載され、航続は約100km。急速充電器を使ったモニター運用だった。モニター車は13台用意され、コンビニ配送から、宅配・塵芥車など、商用EV実用化に向けてさまざまな会社に協力を仰ぎ、テストが行われた。

担当者にモニター車について話を聞いたところ、EV化ならではの面白い話が聞けた。EVにしたことで従来エンジンがマウントされていた部分が空洞になりスペースが出来た。そこでスペースを活用すべく、荷室と運転席を繋げたウォークスルーバンを新たに製造し、ヤマト運輸や佐川急便にモニター車として提供したという。運転席と荷室がウォークスルーになったことで、配達の際に運転手がわざわざクルマから降りて、荷室に荷物を取りに行くといった手間がなくなり、大変好評だったそうだ。

また、ラストワンマイルを担うようなトラックではなく、大型トラックのEV化についてどのように考えているのか聞いたところ、やはり航続や積載物の重量から考えると、バッテリー搭載に限界があり、充電時間なども考えると現段階では実用的ではないと語った。

実際にモニター車として使われた『ELF EV』を展示。実際にモニター車として使われた『ELF EV』を展示。13台のモニター車が使われ、総走行距離は35万kmにも及んだ。13台のモニター車が使われ、総走行距離は35万kmにも及んだ。

◆CNG車、LNG車、FCV車が次世代大型トラックの柱となる

大型トラックについては、2021年から発売が開始されているLNG(液化天然ガス)を燃料とした大型トラック『ギガ』が展示されていた。LNGトラックについて担当者に話を聞いたところ、まだそれほど多く普及しているわけでは無いとのことだった。

その理由としてまず、LNGの充填ステーションが少ないこと。充填設備は三菱商事株式会社とエア・ウォーター株式会社が共同開発し、北海道の2カ所と、大阪の1カ所に設置されているのみ。導入コストの面でも、ディーゼル車のほうがまだまだ初期費用が抑えられるということでLNG車は見送られていることが多い。ただしLNG車は、ランニングコストは安いため、試算すると4年ほどの運用で回収できるそうだ。

いすゞ自動車では『ギガCNG(圧縮天然ガス)』車もリリースしているが、航続距離はCNG車が500km以上、LNG車が1000km以上、燃料充填速度は、CNG車が20~30分、LNG車はディーゼル車並みとのことだが、実際には10~15分とCNG車の半分程度と教えてくれた。ギガLNG車は、万が一のLNGシステムの異常時やLNG燃料欠乏時に対応できるようにCNGタンクも搭載されている。ちなみにCNGの充填ステーションは全国で約80カ所あるという。

LNG車の『ギガ』を展示。LNG車の『ギガ』を展示。LNGとCNGのふたつのタンクが掲載されているので、万が一の時も安心感がある。LNGとCNGのふたつのタンクが掲載されているので、万が一の時も安心感がある。

CNG、LNGだけでなく、FCVトラックも開発が進められている。2020年より本田技術研究所のFCV開発技術と、いすゞの大型トラック開発技術をいかした共同研究を開始。2022年度中にモニター車による実証実験を開始すべく現在準備中。航続距離は約600kmを目標としている。

株式会社本田技術研究所と共同開発による、FCVトラックについても開発中だ。株式会社本田技術研究所と共同開発による、FCVトラックについても開発中だ。
《関口敬文》

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