日野、データ改ざんの損失計上などで過去最大の最終赤字に…2021年度決算

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  • 日野の燃費不正に関する記者会見(3月4日)

日野自動車が4月27日に発表した2022年3月期連結決算は、エンジンデータ改ざん問題に伴う特別損失の計上に加えて繰延税金資産取崩しによる税負担の増加などで、最終赤字が847億円と過去最大となった。

本業の儲けを示す営業利益は前期比2.7倍の338億円。日本と北米を除く各地域の販売が好調だったことから、半導体不足や品質関連費用の増加といったマイナス影響をこなし、3期ぶりの増益に転じた。

日野の小木曽聡社長は同日のオンラインによる決算説明会で「海外の市場は回復基調にあり北米を除く全地域で前年比増、(コロナ前の)2019年度の水準まで回復してきている。アセアンを中心とした販売活動の強化、トータルサポート収益の拡大に加え、台あたりにこだわった収益の改善など収益基盤強化、固定費効率化を継続し収益率は着実に向上してきている」と総括した。

その一方で3月に発覚したエンジンデータ改ざん問題に伴う関連費用400億円、また北米での補償損失273億円をそれぞれ特別損失として計上、さらに繰延税金資産取崩しによる税負担が425億円増えたことで最終損失は847億円まで膨らみ、過去最大となった。これを受けて期末配当は無配とした。

●2023年3月期業績予想は公表見送り

また2023年3月期の業績予想について小木曽社長は「認証の不正行為の対象となった車種の出荷再開の時期を見通すことができない」ことを理由に公表を見送った。

エンジンデータ改ざん問題を巡って小木曽社長はオンライン説明会の冒頭で、「お客様を始めとするステークホルダーの皆様に多大なるご迷惑をおかけしたことを改めて深くお詫び申し上げる」と改めて陳謝。

再発防止状況に関しては「今回の背景には社内の体制、仕組み面に問題があったと考えており、これらについては特別委員会による調査も進んでいるが、不正行為の直接的な原因に関しては自社としても再発防止を進めている」と小木曽社長は説明した。


《小松哲也》

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