不正発覚で揺れる日野自動車---生え抜きの下会長が6月退任[新聞ウォッチ]

日野自動車 下社長(東京モーターショー2019当時)
  • 日野自動車 下社長(東京モーターショー2019当時)

エンジンの排ガスや燃費性能の偽装問題で揺れる日野自動車が、下義生会長が取締役の任期満了に伴い、6月の株主総会で退任すると発表した。親会社のトヨタ自動車出身の小木曽聡社長は続投し、後任の会長を置くかは未定という。

きょうの各紙にも「日野下会長退任へ、試験不正問題『引責辞任ではない』」(読売)や「排ガス不正の日野自動車、下会長が6月退任」(朝日)などの見出しで、経済面で取り上げているが、日野の首脳人事が紙面を大きく飾るのも珍しい。

日野では、3月に不正な手段で自動車の量産に必要な国の「型式指定」を受けていたことが発覚。下氏は、1981年に入社した生え抜きで、小木曽氏が後任社長となった昨年6月に会長に就いたばかりだが、日野が不正行為を繰り返していた16年当時は、常務役員として親会社に転じ、トヨタでは経営企画部門の業務に携わり、グループ戦略やアライアンスを担当。「トヨタ流の危機感の共有手段やファミリー感漂う手厚い人材育成など、トヨタらしさを強く実感した」という。

日野に返り咲いた2017年6月には、トヨタが日野を子会社化した2001年以降、初のプロパー社長として就任。日野によると、不正が分かったのは下氏が社長在任中の2018年だったという。ちなみに、2016年当時の日野の社長は、2012年から就任していたトヨタ出身の市橋保彦氏だった。

下氏は、地球温暖化問題や深刻なドライバー不足など「物流危機」が叫ばれる中、商用車メーカーとして将来の物流を支えていくための使命感も強く、就任直後から改革に真摯に取り組んできた。不正発覚で経営責任が問われていたとはいえ、実直な人柄で業界関係者などから信望も厚かっただけに、1年限りの「任期満了」という突然の退任には不憫に思う人もいることだろう。

2022年4月19日付

●来春採用「増やす」36%、118社調査、航空や旅行再開(読売・1面)

●トヨタ来月75万台に減産、国内9工場一時停止、半導体不足で(読売・11面)

●日野下会長退任へ、試験不正問題「引責辞任ではない」(読売・11面)

●「悪い円安」「負の面考慮を」財務相・日銀総裁が懸念(朝日・9面)

●再生航空燃料国内で生産、三菱商事・ENEOSが供給網(日経・1面)

●四半期、短信一本化で決着、開示は維持、報告書廃止、24年度以降適用(日経・1面)

●マルチ・スズキ社長、インドEV比率「30年に8-10%」(日経・12面)

●航空機、羽ばたく電動化、英ロールス・ロイス、最高速度達成、動力「飛ぶクルマ」にも(日経・14面)

●パナHDが週休3日制、試験導入5000人対象(日経・15面)

《福田俊之》

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