医療支援コンソーシアム「メモラボ」を運営するキャンピングカー株式会社は3月28日、「医ケア児」の災害時避難手段・一時避難所としてキャンピングカーを活用するアシストネットワーク事業「ひなんピング」を運営する「ぱらママ」が事業参画したことを発表した。
メモラボ(メディカルモビリディラボ)は、クルマという視点から医療業界を支援する仕組みを創出することを目的に2021年7月に設立。自動車メーカー、エネルギー事業者、交通事業者、Maas関連事業者など、医療向けモビリティの開発に必要とされる製品・サービスを持つ企業に対して参加の呼びかけを行い、業種を越えたパートナー連携を目指している。
ひなんピングは、女性の社会参画を支援している輝くママ支援ネットワーク「ぱらママ」が進めている、医ケア児家族の避難アシスト事業だ。医ケア児とは、新生児集中治療室(NICU)などに長期入院後、引き続き医療的ケアが日常的に必要な児童のこと。厚労省のまとめでは在宅で全国に推計約2万人いるとされる。ひなんピングでは、岡山大学、キャンピングカー事業者、医師・看護師ネットワーク、当団体4者が協働し、移動式避難所であるキャンピングカーと医ケア児家族のマッチングシステム構築を目指している。
これまでメモラボが車両導入を支援してきた中で、医療機関が最も重要視していたのは、医療機器や冷暖房器具を稼働させるための電源確保。ひなんピングの事業は、避難時に医ケア児が必要とする人工呼吸器や吸引機などを安定稼働させるための環境整備が最優先となる。キャンピングカーは車載したサブバッテリーでこれらの要望に対し、素早く対応することができるが、車外からの給電が難しい環境下における支援活動では時間に限界がある。メモラボでは、今回事業に参画するひなんピングがこれまでに行ってきた蓄電池や発電機の比較検証や、医ケア児向け避難訓練の知見を活かし、医療機器の長時間使用に耐え得る「災害・医療特化型ポータブルバッテリー」の開発も視野に入れていく。
また、より安全で確実な支援を行うためには、電気使用率やバッテリー残量のデータがリアルタイムで収集でき、車両ステータスを常時監視するシステム構築が必要。メモラボではこれらが実現できるGPSアプリケーション開発に向けても、ひなんピングとの連携を図っていく。