JR東日本は3月16日、Suicaのビッグデータを基にした「駅カルテ」を5月から販売すると発表した。
利用者の駅入出場情報を記録したSuicaのデータは、2013年に日立製作所(日立)に提供されており、日立はそれに基づいたマーケティング資料の作成や販売を計画していたが、世論の批判を浴びて一旦中止されていた。以来、有識者による検証を経て、データ活用のあり方を検討してきた結果、個人情報の保護を徹底する形で今回の販売に踏み切ることになった。
今回販売される「駅カルテ」は、2017年度以降の首都圏を中心とした600駅のデータを対象に、個人を特定できないように統計処理して作成した図表を駅別の月次レポートとして、PDF形式で提供される。
データは利用時間が1時間単位、年齢が10歳単位で集計されており、おもに1か月を通じての1日あたりの平均(平日・休日別)を50人単位で表示し、30人未満を非表示としている。
企業や自治体などでの利用を想定しており、ジェイアール東日本企画が販売するレポート数を選択できるタイプ(50~90万円)と、日立製作所が販売する期間内に多くのレポートを利用するタイプ(6~600万円)に分かれる。
なお、JR東日本では2013年以来、個人情報に配慮して集計時にデータから除外する申し出に対応してきたが、今回の販売に際しては、4月10日までに手続きがあった場合は全レポートから除外する対応が、4月11日以降に手続きされた場合は、毎月月末を締め日として当該月のレポートから除外する対応が採られる。対応済の場合は除外が継続される。
JR東日本では「駅カルテ」について「お客さまが安全・安心に駅や列車をご利用いただけるような取組みや、駅の変化を捉えたまちづくりなど、地域の皆さまやお客さまの心豊かな生活の実現に向け役立つものと考えています」としており、今後もデータを幅広い分野で活用し、新たな価値の創造や新規事業の展開に取り組んでいくという。