JR北海道は3月7日、釧網本線の『SL冬の湿原号』について、今シーズンの蒸気機関車による運行を断念したと発表した。
牽引機のC11形蒸気機関車171号機(C11 171)は2021年7月から各パーツを分解して細部を点検する全般検査を受けていたが、本運行を前にした2022年1月15日には、左右各蒸気室に主シリンダーとともに収められたピストン弁のパーツで、シリンダーへ供給される蒸気の漏れを防ぐ「ピストリング」が割損していたことが判明。1月26日に新規に造り直したものに交換したが、1月28日には左側蒸気室のものが割損し、以後、原因究明が続けられていた。
これを受けて、『SL冬の湿原号』はディーゼル機関車(DL)が牽引していたが、「次年度の運行に向けて、ピストンリングが割損した原因を究明の上、対策を講じてまいります」として、残る3月18~21日運行分もディーゼル機関車が使われることになった。
『SL冬の湿原号』は2000年1月に運行を開始したが、シーズンを通して看板である蒸気機関車のリタイアは初のケースとなる。JR北海道では「蒸気機関車での運転を楽しみにされていたお客様や沿線の皆様に深くお詫び申し上げます」と謝罪している。