グリーンのライトアップがドライバーの「目の健康」を願う【岩貞るみこの人道車医】

ライトアップ in グリーン運動
  • ライトアップ in グリーン運動
  • ライトアップ in グリーン運動報告

先日、2022北京オリンピックに向けて東京タワーが白と赤のライトを身にまとい、選手たちへの応援ライトアップを行った。東京タワーに限らず、日本各地の建造物で行われるライトアップには、さまざまな思いが込められている。クリスマスや、アーティストの応援といったエンターテイメント性の高いもののほか、人の命にかかわる活動までさまざまだ。ピンクは、乳がんの早期発見・適切な治療の大切さを伝えるため。オレンジは、子どもの虐待防止を目指す活動などである。

そして、毎年、3月上旬の一週間は、各地のランドマークとなる建造物がグリーンに照らされる。城や駅、ビルや電波塔がグリーンの光に包まれているのを見たことがある人もいるだろう。グリーンは、ライトアップ in グリーン運動。世界緑内障週間(World Glaucoma Week)にあわせて、緑内障の早期発見~治療を促しているのである(グリーンは、臓器移植を知ってもらう色としてもライトアップ等に使われている)。

2021年9月9日と23日にこのコラムでも、2回にわたりお伝えしたように、緑内障は40歳以上では20人に一人という有病率の高さである。進行性であり、進行を遅らせる以外に治療方法がないため、早期発見&早期治療開始&治療継続がなによりも求めれらる。私たちの好きなクルマの運転において、運転寿命を延ばすために闘うべき敵は体力低下や認知症だけではない。緑内障をふくむ視野障害の病気も、手ごわい相手なのである。

にもかかわらず、視野障害は一般の人の認知がびっくりするほど低い。視力がいい=目に問題なしと考える人が、いかに多いかということだ。恥ずかしながら、私もその一人だった。そして昨年、取材中に眼科医の方々に強く進められ検査を受けた結果、自分の目に爆弾があることを知ったのだ。この件、及び、運転免許の更新制度は緑内障などの視野障害には対応できないことは、昨年の二本のコラムに書いた。未読の方はぜひ、読んでいただきたい。

緑内障を患っても、本人が気づくことはまずない。そして病気は、静かに進行していく。違和感に気づいたときは、運転ができない状況に追い込まれていることが本当に多いのだ。たじみ岩瀬眼科の岩瀬愛子医師によると、このまま運転を続けさせると危険だという患者に出会うたびに「もう少し、早く病院にきてくれたら」と強く感じ、悔しく歯がゆく思っているという。そして、眼科医だけがいくら啓蒙活動をしても、必要な人にその情報は届かず、20年近くのあいだ、緑内障患者が眼科検査をしないまま悪化させている状況はほとんど変わらないのだそうだ。

ドライバーにとって怖い病気といえる緑内障を知ってもらい、早期発見につなげるためにできることはないか。そこで岩瀬医師が発案し、眼科医を中心とする日本緑内障学会が始めたのが、このライトアップ in グリーン運動である。各地でグリーンに照らされている建造物を見て、どうしてグリーンなんだろう?と感じてもらい、話題性を高め、報道や口コミで必要な人に緑内障の情報が届いてもらいたいという思いなのである。

目的は、(1)早期発見・早期治療開始ライトアップを見て、他人事と思わず、検診を受けて欲しい。検診をきっかけに早期発見につなげたい。

(2)治療の継続自覚症状がないので、途中で治療から脱落してしまうことも多い。継続が大事であるということをわかってもらいたい。

(3)希望進行して発見された人、すでに、今、進行している人もあきらめず、治療の継続で今見えている部分を維持するために、希望をもって主治医と仲間と家族とともに頑張ってほしい。

である。

ライトアップ in グリーン運動は、2015年に試験的に実施され、最初は、札幌テレビ塔、虎ノ門ヒルズ、名古屋テレビ塔、通天閣、多治見市役所駅北庁舎の5か所のみだった。しかし、それから6年のあいだに賛同するところが増え、2021年には、札幌市時計台、函館の五稜郭タワー、盛岡城跡講演石垣、宇都宮タワー、善光寺、国宝松本城、JR金沢駅鼓門、京都タワー、海峡ゆめタワー、岡山城、出雲大社、小倉城……といったそうそうたる大型建造物のほか、ホテルや商店街アーケード、デパート、庁舎、灯台など、実に478か所が参加している。

グリーンにライトアップされたこれらを見て、眼科検診をぜひ検討してもらいたい。ただ、眼科はハードルが高いという人は「緑内障 セルフチェック」で検索すると、パソコンのディスプレイで簡易検査ができるので、そちらをぜひ試してみてほしい。また、ライトアップ in グリーン運動では、ドライバーの目の健康を願うと同時に、この活動に賛同し参加してくれるところを募集している。

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。最新刊は「世界でいちばん優しいロボット」(講談社)。

《岩貞るみこ》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集