奥村組JVの現場対応に原因…JR東海がリニア中央新幹線工事の死亡事故で再発防止策

事故現場の状況。現場は幅約6.8m、高さ約6.5m、断面積約44平方mで、「天端」(てんぱ)と呼ばれる基礎部分の上端から地表までの高さを示す土被りは約23mとなっていた。
  • 事故現場の状況。現場は幅約6.8m、高さ約6.5m、断面積約44平方mで、「天端」(てんぱ)と呼ばれる基礎部分の上端から地表までの高さを示す土被りは約23mとなっていた。
  • 事故現場の側面図と平面図。最初の肌落ちで作業員A(44歳)が岩塊に足を挟まれて転倒し、もうひとりの作業員B(52歳)が救出へ向かった際に2度目の肌落ちが発生。作業員Aが岩塊の下敷きにとなり病院へ搬送後に死亡し、作業員Bは左手首などの骨折で全治2カ月の怪我を負った。両者とも1次下請けだった村崎建設の作業員だった。
  • 瀬戸トンネルの位置(左)と事故現場の位置を示す斜坑断面図(右)。

JR東海は12月27日、リニア中央新幹線瀬戸工区の瀬戸トンネル工事で発生した死亡事故について、その原因と再発防止策をまとめ、工区を含む岐阜県に報告したと発表した。

この事故は10月27日19時20分頃、斜坑口から約70mの地点で発生。発破後に残薬の有無を点検するため作業員が坑道の先端である「切羽」(きりは)に接近した際、掘削面から岩盤が落下する「肌落ち」が2度発生し、作業員1人が死亡した。

その原因についてJR東海では、工事を受け持つ奥村組共同企業体(奥村組JV)が厚生労働省が定める「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」への対応が不十分だったことを指摘している。

立入禁止範囲であるにも拘わらず、現場の常時監視や責任者の配置、具体的な作業指示、作業手順書への明確な記載などがなく、奥村組JVに対しては立入禁止範囲を明確に定めることや常時監視の確認などを含む再発防止策を講じるとしている。

JR東海では、他の山岳トンネルを含む工区については厚労省のガイドラインに沿って施工されていることを確認しているとして、今後は岐阜県で報告内容が確認された後に工事を再開する予定だが、一部報道によると、報告書で「主に岩盤が露出した切羽区間で発生した肌落ちによる災害であると考えられます」として地盤の変状に起因する事故でないことを主張するJR東海に対して、12月28日に開かれた岐阜県の環境影響評価審査会で専門家から資料の提供が不十分だとして丁寧な説明を求める声が上がっているという。

事故現場の側面図と平面図。最初の肌落ちで作業員A(44歳)が岩塊に足を挟まれて転倒し、もうひとりの作業員B(52歳)が救出へ向かった際に2度目の肌落ちが発生。作業員Aが岩塊の下敷きにとなり病院へ搬送後に死亡し、作業員Bは左手首などの骨折で全治2カ月の怪我を負った。両者とも1次下請けだった村崎建設の作業員だった。事故現場の側面図と平面図。最初の肌落ちで作業員A(44歳)が岩塊に足を挟まれて転倒し、もうひとりの作業員B(52歳)が救出へ向かった際に2度目の肌落ちが発生。作業員Aが岩塊の下敷きにとなり病院へ搬送後に死亡し、作業員Bは左手首などの骨折で全治2カ月の怪我を負った。両者とも1次下請けだった村崎建設の作業員だった。
《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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