JR東日本は12月7日、首都圏における無線式列車制御装置(ATACS)の導入や自動列車運転装置(ATO)の導入・高性能化計画を発表した。
ATACS(=Advanced Train Administration and Communications System)は、従来のレールの電流により列車の在線を検知する軌道回路方式に代わって、列車と地上との間で無線交信を行ない列車を制御するもので、自動列車停止装置(ATS=Automatic Train Stop)や自動列車制御装置(ATC=Automatic Train Control)などの保安装置列車の内包し、列車間隔に応じて速度をコントロールすることができる。軌道検知方式では信号機やケーブルなど多数の地上設備が必要となるが、ATACSは信号機すらなく、きわめてシンプルなシステムとなる。

現在、JR東日本では仙石線あおば通~東塩釜間と埼京線池袋~大宮間に導入されており、小海線(小諸~小淵沢)ではATACSを応用した無線式列車制御方式が導入されている。
ATO(=Automatic Train Operation)は、2018年12月~2019年1月に山手線で試験が行なわれており、2021年3月に常磐緩行線綾瀬~取手間に導入されているが、ATACSを導入することで高性能化される計画で、東京圏輸送管理システム(ATOS=Autonomous decentralized Transport Operation control System)との連携により線区ごとに効率的な運行を実現し、将来的には一部のモノレール路線に導入されている添乗員が乗務するGoA3レベルの自動運転を目指すとしている。

これにより、2025~2030年頃には山手線と京浜東北線にもATOが導入される計画で、同時にこの両線を含む根岸・南武・横浜・常磐緩行などの各線をワンマン化。そのための車両改造工事や駅設備工事が進められる。
その後の2028~2031年頃には山手線と京浜東北線大宮~東神奈川間にATACSが導入され、ATOの高性能化が図られる。
