ダイムラーは11月8日、ビザ(VISA)と新たな提携を結び、メルセデスベンツの車内で指紋認証による決済サービスを開始すると発表した。2022年春から欧州のメルセデスベンツの顧客は、指紋認証を使用して、商品やサービスの支払いを車内で行うことができるようになる。
今後2年間に、コネクテッドカーは全世界で、3億5200万台を超えると予想されている。車内での支払いの総額は、2025年までに約860億ドルに達すると見込まれている。EV、カーシェアリング、自動運転、コネクテッドカーなどのモビリティの発展に合わせて、車内での支払いに対する需要が高まっている。
現在、車内から通販で商品を購入する場合、スマートフォンなどのデバイスを使用して、アプリやウェブサイトにログインする必要がある。ダイムラーとビザの目標は、ユーザーが車内で手間のかからない支払い体験を行えるようにすることにあるという。
安全な顧客認証を行うには、消費者が知っているもの(パスワードなど)や所有しているもの(接続されているデバイスなど)に、生体認証を加えた2段階認証が必要という。ダイムラーの子会社のダイムラー・モビリティは、ビザの委任認証サービスを利用して、発行者に代わって顧客認証を適用できるようにする。
メルセデスベンツによると、ビザの「クラウドトークンフレームワーク」を車載化する世界初の自動車だという。ビザのクラウドトークンフレームワークは、クラウドベースのセキュリティテクノロジーだ。車内や車外で複数のデバイスをペアリングすることが可能になり、ユーザーの銀行口座のIDやパスワードと直接統合される。これにより、ユーザーは決済時にカード番号を入力したり、支払いを認証するためにデバイスを切り替えたりする必要がなくなるという。
2022年春から、ドイツと英国のメルセデスベンツの顧客は、車内の指紋センサーを利用して支払いを行うことができるようになり、他の欧州市場に拡大展開される予定だ。指紋認証の後、車載のヘッドユニットや「MBUX」を通じて、直接商品やサービスが購入できる。このソリューションは順次、世界の他の市場でも利用可能になる見通し、としている。