上野公園の地下にある廃駅、旧博物館動物園駅を訪問…ホームまで!!

東京の上野公園の地下に眠る京成電鉄の旧博物館動物園駅(東京都台東区)。車窓から薄暗いホームを見ることができるし、地上には駅舎も残っている。この旧駅が8日、駅舎からホームまで限定人数ながら公開された。

旧駅の見学会は、台東区教育委員会の「台東区歴史・文化探検隊」に京成電鉄が協力し、実施したもの。「探検隊」は、台東区内の児童や生徒が歴史的建造物・文化施設の見学や地場産業の体験を通じ、歴史や文化・伝統を大切にする心を育てることを目的とする学習支援事業だ。見学会に参加したのは児童・生徒約20名(小学生がほとんど)、教育委員会職員約10名、案内役は京成上野駅の香取利和駅長だ。

旧博物館動物園駅は1933年12月、上野公園駅(現・京成上野駅)~日暮里駅間の開通と同時に開業した。建設にあたっては、用地が皇室の「世伝御料地」にあり、駅舎は西洋様式の荘厳なつくりとなった。設計は当時の鉄道省(現・国交省)建築課に依頼された。設計者は中川俊二氏といわれる。竣工は国会議事堂の竣工より3年早い。利用者の減少などを理由に博物館動物園駅は1997年4月に営業休止、2004年4月に廃止となった。

2017年に京成電鉄は、上野にある東京藝術大学と文化・観光の振興で連携・協力する協定を締結、協定の取り組みとして、旧博物館動物園駅駅舎を修復することにした。工事中の2018年4月には鉄道施設として初めて「東京都選定歴史的建造物」に選定されている。同年11月にリニューアル記念式典が開催され、その後は駅舎内をイベント時に公開している。今回は、イベントなどでは公開されないホームも見学した。旧博物館動物園駅見学旧博物館動物園駅見学

台東区の見学会では、地上のドーム駅舎内ホールで概要の説明があり、地下1階の旧出札階でヘルメットと安全反射ベストを着用し、懐中電灯を手にした。旧出札階までは美術展などでしばしば公開されるが、さらにワンフロア下、ホーム階への入場が許される機会は滅多にない。照明もないので各人の懐中電灯が必要になるわけだ。

駅舎の外壁は清掃されたが、内部の経年劣化部分の交換は行なわず、落書きも営業終了時のままだ。東日本大震災で剥離した壁のタイルも残されている。リニューアル時に設置された「アナウサギ」も改札口側にそのまま設置してあり、これは車窓から見えるはずだ。

ホームにはとうぜんホームドアはなく、訪問・見学を前提とした施設ではないので安全柵もない。営業中の線路を電車が行き交っているので注意が必要だ。走行中の車両に誰かが懐中電灯の光を当てたようで、香取駅長が厳しい口調で注意した。運転士の目がくらみ、安全運転に支障が出る。今後同様のイベントの開催が難しくなるので危険な行為はつつしもう。

最初に降りたホームは京成上野駅へ向かう上りホームだ。「探検隊」は線路下の地下通路を通って青砥・京成成田駅方面の下りホームへ移動、さらに下り線側にもあった旧駅舎から地上に出た。旧博物館動物園駅の駅舎というと、営業休止まで使われていた東京国立博物館横の駅舎が有名だが、じつは下り線側、東京都美術館の裏にも出入口があり、上野動物園はこちらが近い。昭和40年代に上野動物園の正門が移動したため、同時期に閉鎖された(1965~74年、正確な日付は不詳)。出入口閉鎖時にホームには壁が設置され、業務用の扉が設けられている。この地上とホームとの間の空間は都美術館の倉庫として使われていることになっているが、実際は空き家だった。

見学会一行は再び地下に戻り、来た時と同じルートを逆にたどり、ドーム駅舎で解散となった。参加した小学生に感想を聞けば、異口同音に「暗いところに入れて面白かった」と。

《高木啓》

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