【WRC 第10戦】エルフィン・エバンスが今季2勝目を飾る…トヨタは8勝目、3年連続の“王者輩出”が決定

今季2勝目を飾った#33 エバンス(トヨタ)。
  • 今季2勝目を飾った#33 エバンス(トヨタ)。
  • 優勝したエルフィン・エバンス(中央右)と、彼のコ・ドライバー、スコット・マーティン(同左)。左端は2位のタナク、右端は3位のブリーン。
  • 第10戦フィンランドの表彰式。
  • 2位の#8 タナク(ヒュンダイ)。
  • 3位の#42 ブリーン(ヒュンダイ)。
  • スポット参戦で4位フィニッシュを果たした#4 ラッピ(トヨタ)。
  • ポイントリーダーの#1 オジェ(トヨタ)は今回5位。
  • #18 勝田貴元(トヨタ)は土曜にデイリタイアしたが、日曜に再出走してパワーステージでは4位に入った。

世界ラリー選手権(WRC)第10戦が現地10月1~3日にフィンランドで開催され、トヨタのエルフィン・エバンスが今季2勝目をあげた。トヨタは同8勝目。また、今回の結果によりトヨタの3年連続“王者輩出”が決定している。勝田貴元はデイリタイアがあり、最終結果37位。

多くの著名ラリーストを輩出し続けている“ラリー王国”フィンランドでの今季WRC開催は、第2戦に続き2回目。第2戦はスウェーデン戦の代替開催にあたるスノーラリーだったわけだが、今回(第10戦)のフィンランド戦は例年7月末~8月初旬に実施されている“定番”の高速グラベル(未舗装路)ラリーの時季遅れ開催、ということになる。

優勝争いは土曜(2日)に#33 エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)が4連続を含む6つのSS(スペシャルステージ=競技区間)トップタイムを刻んで(トップタイを含む)、この日の早い時点からラリーリーダーの座に就く展開。競技最終日の日曜を前にして、2番手の#8 オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)を9.1秒リードした。

最終日、#33 エバンスは最終SSのパワーステージ(選手権ポイントのボーナスがある)までに2番手 #8 タナクとの差を12.4秒に広げる。そしてパワーステージをトップタイムで締めて、#33 エバンスはボーナス5点を含む30点フルマークで今季2勝目を飾るのであった(2位との最終タイム差14.1秒)。トヨタは今季8勝目、チーム拠点から近くホームラリーともいえる“このフィンランド戦”はWRCワークス復帰の2017年以降、負けなしの4連覇となった(2020年は開催なし。エバンスはこのラリー初制覇)。

優勝した#33 エルフィン・エバンス(トヨタ)のコメント
「チームのホームラリーで優勝することができ、特別な気分だ。似たような特徴をもつエストニア戦では困難な戦いを強いられたけれど、それもあって今回このような結果を残せたことは本当に良かったと思う。事前のテストでクルマにいくつかの変更を加え、金曜の早い段階から大きな自信を得ることができた。チームのみんなの働きに感謝している」

「この週末は本当に楽しんで走ることができた。このクルマでフィンランドの道を走れて幸運だったと感じているし、そのうえで優勝できたのは特別なことだ。また、チャンピオンシップに関してもポジティブな結果になった。(自分の)ドライバーズタイトル獲得は依然難しい状況だけど、これからのすべてのイベントでベストを尽くして戦う」

ドライバーズポイントランキング2位の#33 エバンスは、今回5位だったポイントリーダーの#1 セバスチャン・オジェ(トヨタ)に対するビハインドを44点から24点へと縮めた(190対166)。数字上は今回で#1 オジェが2年連続8度目の戴冠を決める可能性もあったところを、#33 エバンスが踏みとどまり、ググッと押し返した格好だ。

もちろん、土俵中央まで戻ったわけではなく、自身のコメントにもあるように#33 エバンスは依然厳しい状況にある。だが、残り2戦、このまま#33 エバンスが流れをつかめば、彼の逆転初王座も決して不可能とはいえなくなってきたようだ。

今回のラリーの2位は#8 タナク、3位には#42 クレイグ・ブリーンが続き、ヒュンダイ勢がダブル表彰台。ただ、今回の結果をもってヒュンダイの主軸ドライバー2名、#8 タナクと#11 ティエリー・ヌービル(今回リタイア)からはドライバーズタイトル獲得の可能性が消えた。今季2021年の王者を巡る戦いは、オジェ対エバンスのトヨタ同門対決に絞られている。

(*ランキング3位の#11 ヌービルは目下、首位から60点差。残り2戦フルマークなら首位同点に並ぶ数字的可能性は残っているが、その場合でも優勝回数の比較でチャンピオンにはなれない=手元計算)

トヨタは2019年のタナク(翌年からヒュンダイ所属)、2020年のオジェに続き、3年連続でドライバーズチャンピオンを輩出することが決まった。一方、2018年以来3年ぶりの“奪冠”を目指しているマニュファクチャラーズタイトル争いにおいても、トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team=TGR-WRT)がヒュンダイ(HYUNDAI SHELL MOBIS World Rally Team)を61点リードしており(441対380)、優位を固めている。

トヨタのワークス(TGR-WRT)ドライバー3人のうちのもうひとり、前戦優勝の#69 カッレ・ロバンペラは今回土曜にデイリタイアとなり、日曜に再出走してラリー最終結果は34位(彼も今回でドライバーズタイトル獲得の可能性が消滅)。

TGR WRCチャレンジプログラムのドライバーである#18 勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)は今季のWRCで3人目となるコ・ドライバー(アーロン・ジョンストン)と組み、自身2戦ぶりの出場となった。しかし土曜にコースオフしてマシン破損、デイリタイアとなり、ラリー最終結果は37位。ただ、再出走した最終日にパワーステージで4位に入り、2ポイントを獲得している。

また、今回は“第5のトヨタ・ヤリスWRC”を駆って、#4 エサペッカ・ラッピがプライベート参戦。#4 ラッピはかつてトヨタのワークスレギュラーだったドライバーで、当時は2017年にフィンランド戦を制した実績も有する。今はトップワークスのレギュラーシートに座れていないが、さすがの力を見せて今回のラリーを4位でフィニッシュした。

WRCの次戦、第11戦スペインは10月14~17日開催予定となっている。

*上記の順位や日程等は、日本時間4日12時の段階の掲示や情報等に基づく。

《遠藤俊幸》

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