三菱ふそうトラック・バスは、三菱ふそうトラック・バス南関東品川支店のリニューアルオープンにともない「デジタルサービスセンター(DSC)」を導入し、24日、記者向けに公開した。
テープカットセレモニーには、三菱ふそうトラック・バス代表取締役社長 ハートムット・シックも参加し、同店はデジタル化の旗艦店として位置付けられる。
店舗改装は、三菱ふそうが取り組む「ミライプロジェクト」の一環として、オフィス棟と部品庫の移設改装、駐車場の拡大、女性ドライバー専用の待合室の新設が行われた。また、品川支店がかねてより協力している品川区の「こども食堂」もリニューアルされた。品川支店は地域の老人福祉施設やボランティアと協力し、こども食堂や放課後学習のための場所を支店内に整備・提供していたが、リニューアル後も改装された場所で継続される(現在、コロナ禍により利用や休止中だが2022年には再開する予定だという)。
導入されたDSCは、車両整備の予約、引き取り、入庫、整備、出庫といった一連の整備作業を大型タッチスクリーンで管理するシステムだ。多くのディーラーではホワイトボードと工程ごとの用紙で管理していたものが、タッチスクリーンとPCで一元的に管理できるようになる。タッチスクリーンは事務所と整備棟のマシンルームに設置され、工程やスケジュールの管理はどちらからでも可能だ。また、従業員のPCからも同じ画面を見ることができ、操作も可能だ。
品川支店では3枚のホワイトボードを使っていたが、これをすべてDSCに置き換え、工程ごとのバックオフィス業務の80%ほどがデジタル化されたという。とくにDSCでは顧客や車両情報、受注内容が全行程で一元管理されるため、工程ごとに用紙や伝票を起票する必要がなくなる。ペーパーレスに加え、作業効率化と記載ミスのトラブルなども減らせる。また、従来から各ディーラーが使っている営業支援システム(FORCE)との連携も可能となっている。
作業予定はストール(車両1台分の整備エリア)ごとに時間や内容がチャート式で画面に一覧表示される。予定の変更などは画面上のドラッグ操作で簡単に組み替えることができる。情報は、工程ごとの台帳も含めてリアルタイムで更新されるので、柔軟かつ迅速な入庫・整備スケジュールに対応する。
DSCは三菱ふそう独自のシステムで、最初の導入は2019年の郡山支店だという。最初は実験的な導入の意味もあり、現場の声を積極的に採り入れ機能の改善を行っていった。現在、品川と金沢の支店でDSCによってホワイトボードを全廃できている。三菱ふそうではDSCを年内に50拠点まで増やす考えだ。その後も順次拡大していきたいとする。
もちろん現場によって、DSCへの反応はさまざまでホワイトボードや紙による管理にこだわる声もあるようだが、三菱ふそうでは、実際に業務の効率化や顧客満足度につながれば、確実に広がっていくとみている。