リニア問題「大井川流域へ誠意ある対応を」、JR東日本の顔認証「過去の出所者を登録しない」 国交相会見

9月18日、大井川利水関係協議会との意見交換で大井川流域での理解を得られるまでは静岡工区の工事を進めないと述べたJR東海の金子社長。写真はJR東海のリニアモーターカー。
  • 9月18日、大井川利水関係協議会との意見交換で大井川流域での理解を得られるまでは静岡工区の工事を進めないと述べたJR東海の金子社長。写真はJR東海のリニアモーターカー。
  • JR東日本の防犯カメラシステム。セキュリティーセンターがネットワークで結ばれ、遠隔での集中監視が可能。異常を探知した場合、警察と連携して対処する場合があるとしているが、指名手配中の被疑者や不審と認めた者に対しては防犯カメラの顔認証データベースに登録する方針が示されていた。

赤羽一嘉国土交通大臣は9月21日に開かれた定例会見で、JR東海が建設を進めているリニア中央新幹線の静岡工区について記者の質問に答えた。

静岡工区については、大井川流域の水資源問題について2020年4月から国土交通省が主催する有識者会議において科学的、工学的議論が続けられており、9月26日には4月以来の会議が開かれることになっている。

そうしたなか、9月18日には金子慎JR東海社長が大井川流域の首長と意見交換を行ない「流域自治体の理解が得られるまでは、リニアの静岡県内の工事を進めない」という考えを示した。

これについて赤羽大臣は「前向きに評価したいと考えております」と述べ、意見交換を丁寧に重ね、地元から理解と協力を得ることが重要であると強調。JR東海に対しては今後も誠意をもって地元と向き合うよう、指導していくとした。

また、今回の意見交換が今後の有識者会議に影響を与えるのではないかという質問も出たが、これについては「我々が設置した技術的・工学的な議論を行う学術者による有識者会議がクロスオーバーすることはないのではないかと思っております」と述べ、意見交換とは切り離して考えていることを示した。

このほか、JR東日本が東京オリンピック・パラリンピックのセキュリティー対策として設置した顔認証機能付きの防犯カメラの一部が、出所者や仮出所者の一部を検知対象としていたことについての質問もあったが、赤羽大臣は指名手配中の被疑者や警備員が不審と認めた者などについて登録する方針であるという報告を受けていたとした上で、改めて確認したところ「過去の出所者等については顔認証のデータベースに登録しない方針であるとの報告を受けたところです」と述べるに留め、運用方法の是非については言及を避けている。

これについては、人権やプライバシー保護の観点から問題があると専門家から指摘を受けた結果、9月21日に対象から外されたと報道されている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集