【ホンダ シビック 新型】10代目シビックが若者に評価された理由…商品企画担当[インタビュー]

今秋に登場する新型ホンダ『シビック』が国内でお披露目された。新型は先代である10代目と同様に、6速MTが設定されるなどスポーティ路線を踏襲するが、どのようなユーザが支持し、購入しているのか。日本市場での戦略について、商品企画担当に話を聞いた。

20代にも支持された10代目シビック

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そもそもシビックは、1972年の登場当初より、「ホンダが大切にしてきた人中心の開発思想に基づいて走行性能、デザイン、優れた居住性・快適性を高めていきながら、時代に先駆けた環境性能や安全性能を実現することで、世界市民のベーシックカーとして、約半世紀にわたって世界中のお客様から愛されてきた」と紹介するのは、本田技研工業 日本本部 商品ブランド部 商品企画課チーフの杉野惇大氏だ。

その開発思想を磨き上げながらグローバルモデルに成長してきたシビックは、「今日に至るまでホンダのクルマ作りの考え方を体現したモデルとしてあり続けており、新型シビックも、いま現在のホンダのクルマ作りの考え方を凝縮したモデルになっている」という。

2017年に発売した10代目シビックは、外観のスタイル、人とクルマが一体となる走行性能が評価され、3万5000人以上が購入したという。また、年代分布では、「業界全体としては40~50代が多くを占める中で、10代目シビックは、走行性能を求める40~50代のお客様に加え、デザインに重きを置く20代のお客様からも支持され、幅広い世代の方から評価されている」とコメントする。

ここからはより詳しく新型シビックの日本への導入について語っていただこう。

スポーティな会社だということを感じてほしい

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----:ホンダの大きな柱ともいえるシビックを担当することが決まった時に、どのように思いましたか。

杉野惇大氏(以下敬称略):楽しみ7割、不安3割でしょうか。これまでホンダ車を3台乗り継いできましたが、走りやスタイリングがとても好きです。シビックもすごく好きなモデルなので、担当することが出来て嬉しかったのが正直なところです。

----:ではなぜ不安が3割なのですか。

杉野:グローバルでホンダを代表するモデルですから、楽しみはあったものの、ホンダの英知を結集して開発されていますので、正直不安もありました。

----:では、その新型シビックを国内市場ではどのように育てたいと思われましたか。

杉野:先代モデルでは少し国内で空白期間がありました。2017年に復活して、走りやデザインの定評を得て、世の中にも浸透し始めてきています。さらにその浸透具合を、世の中に広めていくモデルとして育てていきたいですね。

----:そのためには何が必要だと思われましたか。

杉野:お客様に乗っていただいて、体感していただくのも大事ですが、そこに至るまでの訴求の「質」を先代に負けないように保ちながら行い、そのうえで実際に乗っていただくことで、このモデルの良さを理解していただく。ホンダには快適性など(の特徴)もありますが、そこに加えて走りにこだわったスポーティな会社だということを、シビックを通じて感じてもらいたいのです。

アコードとインサイトの狭間で

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----:現在ホンダでは『アコード』、シビック、『インサイト』と、比較的近いセグメントのクルマが多くなっています。その中でこのシビックをどう位置づけるのでしょう。

杉野:アコードは過去ツアラーなどもあり、使い勝手とスポーティを両立したモデルだと認識しています。そして、先代モデルぐらいから『レジェンド』まではいきませんが、少しラグジュアリー方向の位置付けになっています。一方、シビックですが、最初はベーシックカーからスタートし、現在ではグローバルモデルとしてCカテゴリーに成長していきました。そういったところでアコードとシビックとの住み分けは出来ています。

ブランドとしてのポジショニングでは、アコードはホンダのセダンの象徴です。ラインアップとしては上位のホンダのセダンに対する考え方を伝えるモデルとして位置付けており、シビックはセダンだけではなくハッチバックやタイプRも含めて、ホンダ四輪全体を象徴する歴史のあるモデルですので、そういったブランディングの位置づけとして整理しています。

----:ではインサイトは?

杉野:環境車として10年単位で出しており、そのタイミングでのホンダの環境に対する考え方を象徴するモデルとして現在3代目を販売しています。そういったところでそれぞれ位置づけが異なっているのです。

----:ただし今回のシビックは来年e:HEVが投入される予定ですよね。サイズ的にもかなりインサイトに近いように思います。その点を踏まえると、ユーザーは結構迷うと思うのですがいかがですか。

杉野:ボディタイプで見ると、インサイトはセダンタイプ、シビックはハッチバックタイプなのでまずボディの違いがあり、インサイトは1.5リットルのハイブリッドで、燃費にもこだわっています。シビックは、その名前にふさわしい動力性能、ダイナミック性能を突き詰めて作っていますので、そこでの棲み分けが出来ています。シビックは操る喜びがすごく特徴的なモデルですから、そういった名に相応しい、いままでとは違うe:HEVになるという住み分けですので、お楽しみに。

20代に評価されるわけ

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----:シビックの購入年齢分布を見ると、若い世代と上の世代の2つの山があります。この要因は何でしょうか。

杉野:20代では、独身の方が中心になってくるのですが、走りはもちろんのこと、クルマのデザインへのこだわりを求める方々に、10代目のシビックが支持され、獲得が出来ています。

----:因みにタイプRはこの中に含まれているのですか。

杉野:いえ、含んでいません。タイプRは価格帯が高くなりますので、より年齢層は上の方になります。

また、シビックはMTの割合が高く、10代目では3割ほどありました。その中でも20代の割合が高いのです。質感やデザインとともにMTであることでシビックを決め打ちで購入された20代が多いようです。

----:だから今回も2グレードともMTを用意したということですね。

杉野:そうです。その操る悦びをより求めるお客様に向けて用意しています。

ハッチバックのユーザー層は最初にいきなりシビックではじまるのではなく、特に地方の方だと10代後半や20代前半ぐらいからクルマに乗り始めて、なんとなく自分がクルマにこういうものを求めるなということが分かってきた人がシビックをご購入くださっているというのが、実際に自分で営業に出ていたりした経験からも感じていました。

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----:今回のターゲットユーザーは「ジェネレーションZ」とその先行層です。実際に買っている人達は、年齢が高い人の方が多いのですか。

杉野:40~50代と20~30代で大体同じぐらいです。

----:そうすると若返りを図るというよりは、今後も買ってくれるであろう、息の長い若い世代をターゲットにしたいという考え方になりますか。

杉野:そういった考え方もありますし、このジェネレーションZというのはグローバルの開発ターゲットの考え方で、国内ではジェネレーションZ世代の20~30代の比較的若い方に加えて、昔からホンダファンの40~50代の方もしっかり獲得出来ていますので、そこに向けてもこのモデルをアピールしていきます。

----:先行層とはどういう人たちですか。

杉野: SNSなどに比較的強い方々で、例えばTwitterなどで情報をどんどん拡散していけるような人たちです。そういった方々には、シビックを見て乗ってもらって、その良さを発信していくような力があると考えています。そこからフォロワー層に広めていくことで、またさらにその良さが広がっていくでしょう。

そういったところから、シビックを通じて、世の中からホンダを見た時にスポーティさもきちんとあり続けているという見え方になってほしいのです。

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スポーティかつ上質

----:振り返りを伺いたいのですが、先代シビックの評価が高かったところはシビックの強みですから、そこを強調して今回の11代目シビックにも反映されていると思います。逆に評価が低かったところもあったと思うのですが、それはどういうものだったのでしょうか。

杉野:評価が低かったというよりは、そういったところを求めている方もいるという捉え方なのですが、内装も含めた「質感」が大きな要素としてありました。そこに対して、例えばインナーハンドルの触り心地、見た目や、シートの細いステッチにまで、内装の質感ひとつひとつにこだわっています。また、運転席に乗り込んだ時に、目線や、導線にしっかりこだわったレイアウトになっていますので、数値などのスペックで現れないような、質の高さが今回のシビックで表現されています。

ホンダ シビック 新型と商品企画課チーフの杉野惇大氏ホンダ シビック 新型と商品企画課チーフの杉野惇大氏
----:今回のシビックでマーケティング的に強調しておきたいところはありますか。

杉野:このモデルはやはりホンダを体現するモデルですので、そういった役割を担っているところを認識をしながら、世の中の方々が、シビックというクルマを通じて、ホンダはこういう会社だ、『N-BOX』や『フィット』のような使い勝手や快適性のクルマだけではなく、きちんと走りやスポーティといった、これまで持っていたDNAはちゃんと存在し続けているということをこの商品を通じて、そしてこれから行っていく広告宣伝展開でも、しっかり表現していきたいと思っています。

----:つまり今回のシビックでは「爽快」という表現が出ていますが、ポジションとしてはスポーティなクルマなのですね。

杉野:先代モデルはスポーティ的な方向を持っていましたが、今回は、より質感などを含めた感性領域の部分にも振っていますので、スポーティかつ上質方向といっていいでしょう。

《内田俊一》

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