新連載[カーオーディオユニットの取り付け]インナーバッフルって、何?…取り付けにまつわる疑問をすべて解決!

カーオーディオ・ユニットの取り付け作業は簡単ではない。ゆえにプロの力を借りるべきなのだが、そこにどれだけのコストがかかるのかをイメージしづらく、結果、最初の一歩を踏み出せずにいるというドライバーは少なくないようだ。

当特集では、そこのところを明らかにしていこうと試みる。毎回全国の有名カーオーディオ・プロショップに取材し、取り付け作業の内容から必要費用のめどまでを解説していく。初回となる当回では、愛媛県東温市の実力店、“サウンドカーペンター”に直撃した。今回のテーマは“インナーバッフル”だ。さて、これは何なのか…。

市販スピーカーを取り付ける際には、“インナーバッフル”は絶対的に必要!

カーオーディオ・ビギナーにとっては、“インナーバッフル”という言葉は馴染みが薄いかもしれない。なのでまずはこれが何なのかを、“サウンドカーペンター”の仲尾さんに教えてもらった。

「“インナーバッフル”とは、スピーカー交換をする際に必要となる取り付け用のパーツです。ナビを交換する際には取り付けキットが必要となることが多いのですが、“インナーバッフル”はいわば、スピーカー交換においての“取り付けキット”です。

というのも市販スピーカーは基本的に、ドアの鉄板に直付けされることはありません。そもそも、取り付け用のネジ穴の位置と純正スピーカーが固定されていたネジ穴の位置とが合致することが少ないからです。しかし“インナーバッフル”を間にかませればこれがネジの“受け”になりスピーカーをしっかり固定できるようになるのです。

そして“インナーバッフル”は、それ以上に重要な役割も果たします。“音響パーツ”的な役割も担うんです。まずスピーカーをがっちりと固定できるようになるのでスピーカーの足場が安定し、振動板を動かすエネルギーをロスしにくくなります。

また、スピーカーの振動によって鉄板が共振するのを抑制する効果も発揮します。鉄板が共振すると不要な音を発し、サウンドを濁してしまいます。しかし“インナーバッフル”を用いれば、不要共振を減らせます。

とはいえ音響パーツとしての性能は、モノによって変わります。取り付け費用を抑えようと思ったら市販品を使うという選択肢が浮上しますが、市販品にもさまざまなタイプがあり、性能もそれぞれで異なります」

市販インナーバッフルの一例(カロッツェリア)。

より硬く重い“インナーバッフル”の方が、音的に有利!

「市販の“インナーバッフル”には、樹脂でできた軽いもの、MDFやシナ合板等の木材製のもの、さらには金属製のものまでがあります。それぞれで価格も異なりますのでご予算に応じてお選びいただければ良いのですが、音のことを考えるならよりハイグレードなものをお選びいただいた方が良いと思います。

“インナーバッフル”の性能の良し悪しにかかわるポイントは2点あります。1つは“強度”でもう1つは“比重”です。硬ければ硬いほど、重ければ重いほどスピーカーをしっかり固定でき、スピーカーの音エネルギーをロスなく前に出せるようになるんです。製品ごとで特徴も違うので一概には言えませんが、一般的には樹脂製よりは木製、木製よりは金属製の方が高性能です。

ところで、木製の市販“インナーバッフル”には寿命があります。ドア内部には雨水が浸入しますが、木製の“インナーバッフル”はこの雨水に弱いんです。もちろん各製品には何らかの防水加工が施されていますが、時間が経過すれば雨水の影響は少なからず及びます。ですので耐久性までを考えられるのであれば、例えばカロッツェリアの『ハイブリッドメタルダイキャストインナーバッフル』はお薦め度が高いです。当アイテムは硬く、重く、そして耐久性も高いので、比較的に安心してお使いいただけると思います。

しかしながらそれ以上にお薦めなのは、特別に製作した“インナーバッフル”です。カーオーディオ・プロショップでは、それぞれのノウハウを駆使して車両特性に合った高性能なものを用意できるからです。

例えば取り付ける車種が『C-HR』だったとします。市販品を使う場合にはトヨタ車用を選べば良いのですが、『C-HR』用にはなっていません。『C-HR』はドアの鉄板のスピーカーを取り付ける部分の開口部が案外大きく、しかし市販のトヨタ用の“インナーバッフル”は、開口部がそこまで大きくない場合がほとんどです。

でもワンオフすれば、開口部を大きく作れます。開口部を広げられると“背圧”(スピーカーの裏側から放たれる音エネルギー)の抜けが良くなります。つまり、より音の良くなる“インナーバッフル”を作れます」

ワンオフしたインナーバッフルを使ったスピーカーの取り付け例(製作ショップ:サウンドカーペンター<愛媛県>)。

ワンオフすると、厚みの調整も自在に行える!

「“インナーバッフル”をワンオフすると、使用するスピーカーに対してもベストマッチするものを用意できます。

またワンオフすれば、厚みの調整も自在です。ある程度厚く作ると、鉄板からの立ち上げ量を稼げます。もしも“インナーバッフル”が薄いと、スピーカーと奥側の鉄板との距離が近くなり過ぎて“背圧”の影響がきつくなります。しかし“インナーバッフル”をある程度厚く作れれば、“背圧”の影響を緩和できます。

さらには、内張りパネルまでの距離も縮められます。結果、内張りパネル内に回り込む音の量も減らせます。この点も利点です。ただ、内張りパネルに近づき過ぎるとパネルに当たる音の反射がきつくなりますので、立ち上げる量には加減が必要なのですが。

ちなみに当店では“インナーバッフル”を、アクリルで製作しています。強度的にも比重的にも、そして耐久性的にもアクリルには利があるからです。さらには厚みの調節もしやすいです。厚みが異なる板をさまざま用意しておけば、それらを貼り合わせることでジャストな厚みに仕上げられます。硬いので加工の難易度は上がりますが、高性能な工具があれば問題ありません。

一般的にはMDFや硬い合板が使われることが多いのですが、当店では長年の研究の末、アクリルに行き着きました。製作費は2万6000円から(左右1組、税抜)とさせていただいています。純正スピーカーが楕円形状となっていて取り付け穴が特に大きい車種では4万2000円(左右1組、税抜)です。なおアクリルで作る場合は部材代が多くかかるのですが、防水処理の手間がかからないのでトータルの製作費は合板等で作るのと同等程度に抑えられています。

ご来店いただけましたら、スピーカー交換について詳しくご説明いたします。さまざまなご提案ができると思いますので、ぜひお気軽にお越しください。お待ちしています」

《太田祥三》

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