[カーオーディオのこだわりポイント]スピーカーケーブルにこだわる!

スピーカーケーブルの一例(M&Mデザイン)。
  • スピーカーケーブルの一例(M&Mデザイン)。
  • スピーカーケーブルの一例(モンスターカーオーディオ)。
  • スピーカーケーブルの一例(チェルノフケーブル)。

カーオーディオでは、こだわりを発揮すればするほど楽しさが深まっていく。というわけで当連載では、どのような“こだわりポイント”があるのかその1つ1つを解説している。現在はケーブルをテーマに展開している。今回は、スピーカーケーブルについて考えていく。

ベーシックなモデルでも、純正のスピーカーケーブルとの品質差は大きい!?

前回はケーブル全般について解説したが、今回はスピーカーケーブルに的を絞って話を進めていく。

ところで前回、ケーブルにはベーシックモデルからハイエンドモデルまでの価格差が大きいことをラインケーブルを例に説明したが、スピーカーケーブルでもさまざまなモデルがある。ただし、スピーカーケーブルはラインケーブルと比べると価格差のレンジはそこまでは広くない。

とはいえスピーカーケーブルの方が必要な分量が多くなりがちだ。そして価格は基本的に1mあたりで表示されているので、1mあたりではそれほど高価な印象は受けずとも、必要な本数と長さを勘案すると結構な金額になったりする。なのでケーブル選びをする際には、必要量がどのくらいになるのかを考えながらセレクトすべきだ。まずはこのことを、頭に入れておいていただきたい。

さて、具体的にはどのようなモデルがあるのかというと、まずもっともリーズナブルなモデルとしては、例えばオーディオテクニカの製品では『AT-CA16』という製品があり、こちらは1mあたり200円(税抜)となっている。

なおこのクラスのモデルでも、純正ケーブルとの性能差は歴然としてある。自動車メーカーが用意する純正のスピーカーケーブルはますますのコストダウンが図られている節があり、性能的にかなり乏しい。もしもスピーカーを交換するのであれば、もっともリーズナブルなモデルでも良いのでケーブルも市販品に交換することをお薦めしたい。そうしないと、交換するスピーカーの性能を引き出し切れず、もったいない。

ただし、まずは純正ケーブルを使っておいて後からケーブル交換だけを行うのもアリだ。そうした方がケーブルの音の違いを体験できるので、その点においてはより楽しめる。

一方、高級なモデルとしては例えば、「M&Mデザイン」のラインナップで見ると『SN-MS9500 The ONE』というモデルがあり、当品の場合は1mあたりの価格(税抜)は、1万円となっている。

スピーカーケーブルの一例(モンスターカーオーディオ)。

タイプ違いもさまざまあり、それに応じて音も変わる。試聴して選べるとベスト!

続いては、スピーカーケーブルにはタイプ違いがあることを説明していこう。まず構造的には主に3タイプに分類できる。

で、もっともスタンダードなのは「並行型」だ。これはその名のとおり、プラス線とマイナス線が平行に配置されている。2つ目は「ツイスト型」だ。これはプラス線とマイナス線がねじり合わせた構造となっている。なお「ツイスト型」は「並行型」と比べてノイズの影響を受けにくいとされている。

そしてもう1つが「4芯型」だ。これも名前のとおり、線が4本で1組みとなっている。このタイプはさらにノイズに強いとされていて、また低音の伝送に利があり低音を重視する人に向いているとも言われている。そして、「バイワイヤリング」という特殊な配線方法を実行しやすいこともメリットだ。ただし、被膜をむく作業の必要回数が多くなるので、その点では配線作業に手間が掛かる。

また、導体の材質違いもさまざまある。もっともスタンダードなのは「銅」で、このタイプは比較的に低音が豊かに再現される傾向が強いとされている。また「銀」が使われている場合もあり、そうであると高音域がよりクリアになる傾向が強いと言われている。

そして、それ以外の素材が使われているものもいくつかあり、さらには複数の素材が複合的に使われているものもある。なお、素材の違いは構造的なタイプ違い以上にサウンド傾向が変わりやすい。なので、高級なモデルを手にしようとする場合には特に、試聴して選べるとベストだ。タイプ違いによるサウンド傾向を聴き分けて、自分としてもっともしっくりくるものを選び出そう。

スピーカーケーブルの一例(チェルノフケーブル)。

使用上の“こだわりポイント”を解説!

ところで、超高級モデルの中には太いモデルもある。しかし、太すぎると引き回しがしにくくなる。特に、ドア内部に通す作業がやりにくい。結果、そこをなんとかするために手間が掛かることとなり、工賃アップにも繋がってくる。このことは頭の片隅に入れておきたい。

なお、パワーアンプの設置場所によっては、左右で必要な長さが変わってくることがある。その場合の対処方法には諸説あるのだが、長さは左右で揃えた方が良いと考えられる場合も多い。ステレオを正しく鳴らそうとするときには左右のコンディションを揃えることが基本となるので、その観点ではスピーカーケーブルの長さも左右で違わない方が良いのだ。

ただし、長さを揃えると片側が大量に余ってしまうこともある。そしてその余った分を適切に処理できないと、むしろ弊害が生まれてしまう。例えば、余った分をくるくると丸めておくのはあまり良くない。その部分がコイルとなり、音に影響を与えかねない。ちなみに余った分はくねくねと蛇行させて固定しておけるとベターだ。しかもカーブ部分は緩やかにできるとなお良い。

あと、スピーカーケーブルに限った話ではないのだが、途中で継ぎ足すのも避けるべきだ。接点が増えることで伝送ロスが起こりかねないからだ。ましてや、長さが足りなくなって一部を廉価なケーブルで代用するのは御法度だ。せっかく良いケーブルを使っていても、それが台無しにもなりかねない。一部に使った廉価なモデルのサウンド傾向が全体に影響をおよぼすからだ。

しかし逆に、一部に超高級なケーブルを継ぎ足すというのは、ナシではない。積極的にお薦めできる作戦ではないが、一部であっても良いケーブルを使うと、そのサウンド的な特長が乗ってより良い結果が得られたりもする。掟破りなワザではあるが、音を変えたいと思ったときは効果を発揮する。参考にしていただきたい。

今回は以上だ。次回もケーブルに関した“こだわりポイント”を紹介していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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